夜と霧 あるいは ” man's search for meaning”

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 ワタシはこの本を高校時代にはじめて読んだ。暗そうな本だなあという第一印象とは裏腹に読後とても明るく希望に満ちた気分に浸ったのを覚えている。それは当時15、6歳であたかも自分が不幸のど真ん中にいるのだと絶望していたワタシに生きる勇気を与えてくれたように思う。そして、あれから十数年たった今もなお最も感動した本の一冊であり続けている。

 数あるナチス強制収容所関連の本の中でもこの「夜と霧」が他とは異質で多くの読者の心に真に訴え続ける理由は、著者の精神科医としての冷静な眼差しと、強制収容所を一囚人として生き抜いた人間としての視点が混在しているからだと思う。それはホロコーストにおける人間模様について、とりわけ人間の内面を事細かに、生々しく描き出している。

 例えば人間はよくも悪くもいかようにもなりうるということ。人間は何にでも慣れてしまえるということ。無感動、無感覚における自己防衛。あるいは、一片のパンをいつどうやってどのように食べるかの大論争。そこには単にホロコースト=悲惨というイメージだけでは片付けられない日常が散りばめられている。

 そしていかなる環境においても、けして生きる目的を捨てずに未来を失わないことが、生き続ける上でいかに重要であるかを教えてくれる。実際、収容所ではクリスマスを境に大量の人が死んだとある。いよいよクリスマスをが近づいても家族で集うことが叶わないという絶望感が生きる希望を失わせ、大量の死を招いたという事実は今も私の胸に響いた。

 生きるとはなにか?どんな時代においても人間は生きるている限り、時としてその意義について思い悩むのではないか。そして「夜と霧」はその意義について根本から考えさせてくれる一冊である。そこにはおしきせや説教臭さない。むしろ、いかなる環境においてもいかに人間は自由でありうるか。いかに考え方次第で物事は変化しうるかが著者の壮絶な経験とともに綴られている。もし、生きることに迷いを感じている人がいたら、私は迷わずこの本を読むことをお勧めする。


と学校の読書感想文で書いたので、ここに記録しておく。
高校時代に読んで衝撃的だった本の一冊。高校の英語の授業で教科書に使われて、英語だったから難しくてよく解らなかったんだけど、それでも面白くて辞書を引き引き一生懸命自力で読んだ一冊なのだ。タイトルは” man's search for meaning”ってタイトルだった。なんかまんまのタイトルだね。個人的には「夜と霧」の方がしっくりくる。しかしこの2つちょっと内容が違う。” man's search for the meaning”の方は前半が日記調で強制収容所の生活やそこで起ったこと、自身の日日について綴られていて、後半は精神分析、主に強制収容所における人間の心理を精神分析的手法で解説したりしているような内容だった。当時ワタシは前半を読むのがやっとで、後半はあんまり理解出来なかったんだけど、日本版の「夜と霧」は殆どその前半の生活部分のみにフォーカスされているような感じ。今回また改めて日本語版の「夜と霧」を読んだのだけど、やっぱりずどーんとくる。いつか、もう一度” man's search for meaning”を改めて読んでみたい。そしていつかアウシュビッツを訪れたいと思う。
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by holly-short | 2010-04-06 23:35 | book review
恐怖のエレベータ。 >>