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赤を見る。

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赤い色を見る時、私達は赤い色を見ていると感じる。何の疑いもなく、ごく当り前に。これは勿論私達の目が赤を赤として知覚し、それを脳が認識するからだ。まず網膜に写った赤(いわゆる色刺激)から赤い色を取り込む受容体(レセプター)が脳に赤色をキャッチしたという信号を送る。この知覚を通して、今自分が赤い色を見ていると言う感覚が起こる。これが意識。意識によって私達は外界の世界を認識することが可能となる。よって、赤を赤と認識できるのは、赤い色を見ていると言う感覚が自分の中に起こるからと言える。外からの刺激を知覚することはアメーバのような単純な生物でもやってはいるが、知覚から生まれた感覚によって外界を認識すると言う二段構えになっているのは、すなわち意識を持つのは神経が発達した高等な霊長類だけ。つまり意識とは、自分の知覚をモニターするもう一人の自分の存在のことを言う。しかし、この機能を持ち合わせているからこそ人間や霊長類は、進化の過程で有利になった。なぜならば意識は自分がこの瞬間に生きていると言う強い感覚を生み出すから。

なんてことが書いてある本で した。それだけでなく色々な角度から意識についての考察が丁寧に描き出されています。ワタシもいまいちちゃんと解かっていませんが、、、、いまいちじゃなくて全然かもしんない。。。。
しかし、とっても面白かったのでメモしておく!こういう本は内容がすっかり理解出来なくても新しい発見が一杯あるから。自分の中で新しい神経回路が沢山出来ていく感じ。。。ワタシの場合知能がちょっと不足しているので、モニターしきれていないのかもしれないが、、、、、

作者ニコラス・ハンフリーは、進化論的な観点から意識というものを考察し、意識は進化の過程で発達してきたと言う研究をしている人。本人は心理学者であり哲学者(大学の哲学科の現役教授)でもあり、人間の知性と意識の進化をめぐる業績で国際的に知られる研究者でもある。ちなみに一般向けの本を書いたり本国イギリスでテレビ製作なんかにも係わるマルチな人物です。。。。日本でいえば養老猛みたいなもんかな。。。ちょっと違うか、、、?

しかし、なんと言ってもこの本、内容の難しさは置いておいて (置いておくのか?)装丁がなんともオシャレです。真っ赤なツルツルの本体に小窓がついた白いカバー、可愛い挿絵、まるで楽しい絵本のように話が展開していくのだ。赤い星の王子様みたいな感じ。。。。書き方はいたって丁寧で解かりやすいものの、書いてある内容は結構難しい〜。誰もがいつも当り前のように一緒にいて、一緒過ぎるからこそよく解からない自分が自分であるという感覚、自意識について懇切丁寧に話が展開してゆきます。中には様々な分野の(科学、芸術、哲学)人達が言ったり書いたりした言葉が絶妙に散りばめられていて知的好奇心を刺激される。科学の解からない人でも楽しめる一冊だと思ふ。この人の本は他にあと二冊翻訳されているので、そちらも読んでみませう。

本に出てくるアルベール・カミュの言葉。

「たえず意識を有する精神の目の前にある現在とその推移こそ、不条理な人間の理想である」

作者の解説つきでこれを読むとほおおお〜と深く頷けるのだ。

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by holly-short | 2007-03-14 23:45 | book review
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