「お題小説」

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ああ、やっと書き終わつた。。。。
今月の「お題小説」です。
で、いちおう再びR指定?。。。
※※官能小説ではありませんが、それに準ずると思われる不快な表現も含まれているかもしれません。不快に思われそうな方は無視してください。。。(って、読まなきゃそんなの解らないと思われるかもしれませんが、、しかも、ちょっとグロイです。)
文字制限いちおう4000字とのことですが、なんか書いてたら10000字を超えてしまいました。ちゃんと4000字以内に納めました!!!!あは。。それでも、でも、でも長くて読んでられんと思われる方は無視あるいは面倒になった時点で切り捨ててください。自分でも書いてても訳ワカメ??なんて思いつつどうにか書いたものなので。。
「今月のお題」
ここで書きたくないけど、いちおう「私小説」です。
ワタシは、どちらかといえば小説の方に比重を置き、私(ワタクシ)の部分は、そのスピリッツのみを抽象的に表現したつもり。。。そのつもりのつもりってことで、勿論ノンフィクションです.



アメリカンドリーム。

 もちろん私は何度かMのことを殺そうかと思った。衝動的に。出来れば彼女の大好きなスイミ
ングプールに白い粉を溶かし、心地良くMの報酬系を満たしたままに。14才の私は、よくMの
不在を想像した。ある日、もしMがいなくなったとしたら、例えば新しいM2が表れたら、きっと
私はその人ととてもうまくやっていけるんじゃないだろうかと。だからMが「もし、例えばパパと
ママが離婚したら、Aはどっちに付いていくの?」なんて、いかにも感傷的で思わせ振りな質問
をした時も、私は「そんなのパパに決まってるじゃない」と冷たく即答した。その後は、無言で
自室に引き篭り、新しいM2について想いを巡らした。

 FにM以外の別の女がいるということは物心ついた頃から知っていた。少なくとも男と女がいか
に愛し合うかを漠然と理解した頃から。そういった男女の恋愛関係は私にとって、解かりやすい
肉体関係、いわゆるセックスとは異なり、はじめから一筋縄にはいかない捉えがたい不可解な
ものだった。

 Mは鬱っぽく、リビングルームに置かれたクリーム色をした皮のソファーに気怠そうに横たわっ
ていた。私は、そんな彼女を見るのがとても億劫だった。さっき陽気に笑い飛ばしていたかと
思えば、次の瞬間には声を枯らして泣いたりした。「どうしたの?」と何気なく聞くと、真剣な顔
をして「お母さん、死んじゃうかもしれない」などと自虐的なセリフを吐いた。又ある時は「ね
え、お父さん他の女の人とつきあっているのよ」などとFの不倫をまるで大きな秘密を打ち明け
るように暴露した。まるで悲劇のヒロインのように打ち拉がれながら。

 Fは40台前半で、とても整った顔立ちをしていた。背が高く、肉体的に優れ、何をしてもそつ
なくこなす、ニヒルなユーモアの持ち主だった。大抵の女性は彼のことを魅力的だと思うという
ことを私は経験上よく知っていた。もちろんF自身もそれを知り尽くしていた。だからこそFの身
のこなしや、たまに見せる笑顔やちょっとしたしぐさは、女性たちの目にとてもチャーミングに
映った。Fは優しく身勝手で、女の扱いが巧かった。別の女を外で抱き、家庭に戻ればとても
よい父親にもなれた。Mに対しても、夫としての役割を少なくとも形だけは果たそうと努めた。
あるいは単純に、性器でものを思考するタイプの男だった。もし、そうであるならばきっと彼の
性器はとてもロマンチストだったに違いない。私は、そんな二人の喘ぐ声を壁越しに聞きなが
ら居たたまれない気持ちで一杯になった。

 当時、私達はFの仕事の関係でアメリカに住んでいた。アメリカに引っ越す以前、Fには長く付
き合っている女、Iがいた。アメリカへの転勤話が舞い込み、Mはアメリカに行けばすべてが変
わるかもしれないと思った。ようするにFの女関係でこれ以上悩まされずに済むと。散々服用し
てきた精神安定剤や睡眠薬などとも縁を切ることが出来ると。それはMにとって、一種ささやか
なアメリカンドリームだった。それでもMは、念の為にそれらの薬を可能な限り処方してもらっ
た。それ以外にも日本製のコンドームを大量に買い込み、アメリカ行きの引越し荷物に詰め込
んだ。しかし、Mの夢はいとも簡単に幻と化した。今までもそうであったように、Iがいなくなれ
ばI2が、I2がいなくなればI3が、といった具合にIXがどこからか出てくるだけのことだった。Mは
再び日本から運び込んだ革のソファーの上で、鬱鬱とする日々を過ごした。コンドームを捨て、
再び薬を服用した。それらはすぐに底をつき、薬が無くなる度にMは日本に帰国しなければな
らなかった。私はいつしか鬱鬱としているMを鬱陶しく感じるようになった。それに加えてMの
私に対する干渉も、Mの母親みたいな態度も、Mの不幸も、何もかもすべて。

 Fは、私にとってまるで友達みたいな父親だった。あるいは恋人のように、私はFを愛し理解し
ようと努めた。私が愛したFの余裕、自負心は、私の中で揺るぎない男の象徴として深く根付
いた。例えそれが偶像であったとしても、私はFを美化することを諦めることが出来なかった。
Mの不在時、その他にもFは私のことをよく外に連れ出した。一緒に買い物に行き、料理をし
て、カウンターキッチンに並んで食べた。Fは、家事も料理も得意だった。よってMの不在により
実質上、私達が困るということは残念ながら、又は幸運にもなかった。週末になるとFは私にゴ
ルフを教え、二人でラウンドした。家に帰ってもリビングに敷かれたペルシャ絨毯の上で肩揉
みや1ドル札、あるいは掃除や洗濯を賭けてパター勝負をした。眠れない夜は「ちょっとだけだ
よ」と言ってお酒を分けてくれた。それでも眠れない時は、どうでもいい話をしながらFのベット
で一緒に眠った。そうしているうちに、いつでもMは申し訳なさそうに、沢山のお土産と処方され
た薬を鞄に詰め込んで、日本から帰国した。

 友人宅にて「ちょっとやってみる?」と気軽に問いかけられたので、私はその差し出された白い
粉を鼻から吸った。「ちょっと舐めてみて?」と言われたので、舐めるとそれは微かに甘い味がし
た。私は小さな一山を鼻からゆっくりと何回かに分けて吸い込んだ。「いい感じよ」と友人らは
満面の笑みで私を褒めた。しかし、すぐに変化は訪れなかった。「なにも変わらないね」と友人
らに首をすくめてみせた次の瞬間、私の脳の未開拓な部分に一瞬でスイッチがはいった。ま
ず周囲にいた友人らがぼやけ、彼女たちの声が一気に遠のいた。肉体が大きく揺らぎ、強烈
な浮遊感に全身が包まれた。私は宙に浮き上がってしまわないようにと毛足の短い絨毯をも
がくように何度も掴んだ。「クスクス」という冷笑な笑い声が微かに周囲から漏れた。私は「助
けて!お願い」と大声で叫んだ。叫ぼうとした。けれど叫び声はまるでミュートが掛かったように
音にならない。音にならない叫び声を何度も何度も喘ぐように繰り返した。頬に涙が流れ、鋭
く尖った実体のある恐怖感が全身を貫いた。肉体から現実感という重みが徐々に遠のいた。そ
のうち私の肉体はスーと宙に浮き、そのまま勢いよく上昇して天井にぽっかりとあいた小さな黒
い穴に「ヒュン」と吸い込まれた。

 私は金髪のウィッグを被っている。ウィッグは、ボブカットでちょうど眉毛のところでぱつんと真
直に切られている。エナメルのハイヒールに、黒く透き通ったストッキング、ぴったりしたワン
ピースを着ている。束になった睫毛が目の周りを黒く縁取っている。私は娼婦で、Fに手を引か
れ、いかにもいかがわしい通りを歩いている。Fは小さく小綺麗なホテルに無言で入っていく。
もちろん私もFの後に続いた。ホテルに入ると、そこは真っ白で、壁に空いた小さな穴からスー
と小さな皺のある手が何かを差し出した。その手には、青いプラスチックの札が付いたキーを
が握られていた。Fはそれを受け取り、私達は青い札に示された部屋へと向かった。部屋はと
ても清潔で無駄なものがなに一つ見当たらない。私はベットに腰掛け、Fは私の金髪の髪を
優しく撫でた。Fは無言のまま私を抱きしめ、そのままスルスルとまるでマジックみたいに私の
服をすべて脱がせた。いつの間にかFは自身の服もすべて脱ぎ捨て、大きくなった性器を私
の中に入れようとした。私は「ちょっと待って」と人差指を立て、黒いエナメルのハンドバッグか
らコンドームを取り出した。慎重にセロファンを口で破り、Fの性器の先端にそれを被せた。Fは
一瞬まるで子供みたいに笑い、その後ゆっくりと私の中に侵入した。私は次の瞬間、繋がった
ままの状態で、隠し持っていたキッチン鋏でFの性器を根元から一気に切り落とした。Fは無言
のままベットに倒れた。皺ひとつない真っ白なシーツに大きな赤い染みがじんわりと広がった。
薄緑色に透けるゴムの中で、Fの性器はゆっくりと力なく縮んだ。
 
 目覚めると、私は汗だくでベットの上にぐったりと横たわっていた。部屋は薄暗く、一瞬自分が
何処にいるのか解らなかった。しかし私の頭、いわゆる私の脳は、まるで長い眠りから目覚め
たかのようにすっきりとクリアに整頓され、研ぎ澄まされていた。ベッタリと頬に張り付いた髪の
毛を掻き上げ、冷たく湿ったベットから起き上がった。そこは自分の部屋で、時計の針は夜の
10時を指し示していた。窓を開けると、真夏の夜の心地よく渇いた空気がゆっくりと部屋に
入ってきた。二階の窓から顔を出して下を覗くと、そこにはライトアップされたプールがゆらゆら
と揺れていた。プールは美しく、幻想的な清涼感を漂わせていた。Mがゆっくりと手足を伸ば
し、その中で泳いでいた。Mは私に気づき、私に手を振った。私も小さくMに手を振りかえした。

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by holly-short | 2007-04-19 00:21 | 「お題小説」
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