カテゴリ:book review( 8 )

夜と霧 あるいは ” man's search for meaning”

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 ワタシはこの本を高校時代にはじめて読んだ。暗そうな本だなあという第一印象とは裏腹に読後とても明るく希望に満ちた気分に浸ったのを覚えている。それは当時15、6歳であたかも自分が不幸のど真ん中にいるのだと絶望していたワタシに生きる勇気を与えてくれたように思う。そして、あれから十数年たった今もなお最も感動した本の一冊であり続けている。

 数あるナチス強制収容所関連の本の中でもこの「夜と霧」が他とは異質で多くの読者の心に真に訴え続ける理由は、著者の精神科医としての冷静な眼差しと、強制収容所を一囚人として生き抜いた人間としての視点が混在しているからだと思う。それはホロコーストにおける人間模様について、とりわけ人間の内面を事細かに、生々しく描き出している。

 例えば人間はよくも悪くもいかようにもなりうるということ。人間は何にでも慣れてしまえるということ。無感動、無感覚における自己防衛。あるいは、一片のパンをいつどうやってどのように食べるかの大論争。そこには単にホロコースト=悲惨というイメージだけでは片付けられない日常が散りばめられている。

 そしていかなる環境においても、けして生きる目的を捨てずに未来を失わないことが、生き続ける上でいかに重要であるかを教えてくれる。実際、収容所ではクリスマスを境に大量の人が死んだとある。いよいよクリスマスをが近づいても家族で集うことが叶わないという絶望感が生きる希望を失わせ、大量の死を招いたという事実は今も私の胸に響いた。

 生きるとはなにか?どんな時代においても人間は生きるている限り、時としてその意義について思い悩むのではないか。そして「夜と霧」はその意義について根本から考えさせてくれる一冊である。そこにはおしきせや説教臭さない。むしろ、いかなる環境においてもいかに人間は自由でありうるか。いかに考え方次第で物事は変化しうるかが著者の壮絶な経験とともに綴られている。もし、生きることに迷いを感じている人がいたら、私は迷わずこの本を読むことをお勧めする。


と学校の読書感想文で書いたので、ここに記録しておく。
高校時代に読んで衝撃的だった本の一冊。高校の英語の授業で教科書に使われて、英語だったから難しくてよく解らなかったんだけど、それでも面白くて辞書を引き引き一生懸命自力で読んだ一冊なのだ。タイトルは” man's search for meaning”ってタイトルだった。なんかまんまのタイトルだね。個人的には「夜と霧」の方がしっくりくる。しかしこの2つちょっと内容が違う。” man's search for the meaning”の方は前半が日記調で強制収容所の生活やそこで起ったこと、自身の日日について綴られていて、後半は精神分析、主に強制収容所における人間の心理を精神分析的手法で解説したりしているような内容だった。当時ワタシは前半を読むのがやっとで、後半はあんまり理解出来なかったんだけど、日本版の「夜と霧」は殆どその前半の生活部分のみにフォーカスされているような感じ。今回また改めて日本語版の「夜と霧」を読んだのだけど、やっぱりずどーんとくる。いつか、もう一度” man's search for meaning”を改めて読んでみたい。そしていつかアウシュビッツを訪れたいと思う。
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by holly-short | 2010-04-06 23:35 | book review

わが悲しき娼婦たちの思いで

この本は絶対いつか読みたい。読むべきいいいい。読まねばああああ。。なんて思いつつ読めてない本て沢山ある。ワタシのバヤイ。。。図書館でいつも背表紙を眺め、「あ〜」とか「う〜」とか思たり唸ったりしながら、なんとなく通り過ぎてしまう本、本、本。ワタシにとってガルシア・マルケスの「百年の孤独」もそんな本のうちの1冊だった。ガルシア・マルケスといえば言わずと知れたノーベル賞作家。世界が認める大御所。ともすれば、なんとなく難しそうだなあ〜と。下手に手を出したら「あ〜解らん」と途中で、イヤ気がさしてきっと最初の方で面倒くさくなって、きっと放り出すだろうなあ、なんて思って、なんとなく手が出なかったの。しかし今回マルケス(もう呼び捨てかよ!)を一冊読んでみたら、あまりに読みやすく、しっくり肌に馴染むので吃驚した。やはりワタシはラテン系なのか?(ちなみにマルケスはね、スペイン人です)ノーベル賞作家に肌が合うのか?(そんな訳ない)まるでふっと偶然に手に取った見知らぬ作家の見知らぬ小説に思いもよらぬ感動をしたような、そんな心地。読んだのは「わが悲しき娼婦たちの思いで」。まずタイトルに惹かれ、次に表紙に惹かれた。これは最近新しく出版された装丁のようですが、どれもとてもシックでいい感じであります。で、パラッとめくって出だしの一行で、もうワタシの心は持ってかれました。

満九十歳の誕生日に、うら若き処女を狂ったように愛して、自分の誕生日祝いにしようと考えた。

と、いうもの。もうなんかこの時点でメチャクチャ?えー!!!みたいな。主人公は、九十歳の爺、しかしテーマはもちろん愛!しかも恋愛!もう初っ端からグググーと引き込まれ、その勢いのままグングン読めちゃう一冊です。ワタシのバヤイ、小説を読む時、今まで味わったことのない新しい価値観みたいなものにうっかり出会うとすごくウレシくなるんだけど、この小説には、そんな不可解で怪し気な価値観が散りばめられている感じ。というか、終止唖然。小説がはじまる前に川端康成の「眠れる美女」の1文が書かれているのだけど、マルケスはその川端康成の小説から想を得て作品を書こうと思い立ったらしい。ノーベル賞友達か?これはマルケス70代の時の晩年の作品とのことだけど、他の作家の作品からインスパイアーされ作品を書いちゃうなんて、とこが面白い。ノーベル賞作家なのに。。。これに続いて、「コレラの時代の愛」も読んでみましたが、こちらもなかなか面白かったです。なんといっても、とても読みやすい。「百年の孤独」もこの勢いに乗ったまま読んでしまいたいケド、、、勿体ないので何かの時に為にとっておくことにした。どこか旅先のホテルの中庭かなんかで熱さにうなだれながら、呆然と読んでみたい。
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訳者の後書にマルケスのインタビューが部分的に引用されていてそれがとても興味深かったのでここにメモしておく。
小説を書く時、ストーリーの中のリアリズムの有り様について、、、

ストーリーの中で現実というのはどの程度までたわめ、歪めることが出来るのか、本当らしく見える限界というのはどのあたりにあるのか。本当らしさの限界というのは、我々が考えているよりも広がりのあるものなんだ。ただ、そういう限界があることはわきまえておかないといけない。ちょうど、チェスをするようなもんだ。視聴者、あるいは読者とルールを決めておく。つまり、ビショップはこう動き、ルークはこう、ポーンはこう、、、、といったようにね。で、いったんその規則ができあがったら、もう変えてはいけない。一方が途中でそれを変更しようとしても、もう一方は受け入れてくれないからね。すべてのキーは大いなるゲーム、つまりストーリーそのもののうちにあるんだ。相手が君のゲームを受け入れてくれれば、なんの問題もなくゲームを続けられるというわけだ。
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by holly-short | 2007-04-13 19:30 | book review

赤を見る。

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赤い色を見る時、私達は赤い色を見ていると感じる。何の疑いもなく、ごく当り前に。これは勿論私達の目が赤を赤として知覚し、それを脳が認識するからだ。まず網膜に写った赤(いわゆる色刺激)から赤い色を取り込む受容体(レセプター)が脳に赤色をキャッチしたという信号を送る。この知覚を通して、今自分が赤い色を見ていると言う感覚が起こる。これが意識。意識によって私達は外界の世界を認識することが可能となる。よって、赤を赤と認識できるのは、赤い色を見ていると言う感覚が自分の中に起こるからと言える。外からの刺激を知覚することはアメーバのような単純な生物でもやってはいるが、知覚から生まれた感覚によって外界を認識すると言う二段構えになっているのは、すなわち意識を持つのは神経が発達した高等な霊長類だけ。つまり意識とは、自分の知覚をモニターするもう一人の自分の存在のことを言う。しかし、この機能を持ち合わせているからこそ人間や霊長類は、進化の過程で有利になった。なぜならば意識は自分がこの瞬間に生きていると言う強い感覚を生み出すから。

なんてことが書いてある本で した。それだけでなく色々な角度から意識についての考察が丁寧に描き出されています。ワタシもいまいちちゃんと解かっていませんが、、、、いまいちじゃなくて全然かもしんない。。。。
しかし、とっても面白かったのでメモしておく!こういう本は内容がすっかり理解出来なくても新しい発見が一杯あるから。自分の中で新しい神経回路が沢山出来ていく感じ。。。ワタシの場合知能がちょっと不足しているので、モニターしきれていないのかもしれないが、、、、、

作者ニコラス・ハンフリーは、進化論的な観点から意識というものを考察し、意識は進化の過程で発達してきたと言う研究をしている人。本人は心理学者であり哲学者(大学の哲学科の現役教授)でもあり、人間の知性と意識の進化をめぐる業績で国際的に知られる研究者でもある。ちなみに一般向けの本を書いたり本国イギリスでテレビ製作なんかにも係わるマルチな人物です。。。。日本でいえば養老猛みたいなもんかな。。。ちょっと違うか、、、?

しかし、なんと言ってもこの本、内容の難しさは置いておいて (置いておくのか?)装丁がなんともオシャレです。真っ赤なツルツルの本体に小窓がついた白いカバー、可愛い挿絵、まるで楽しい絵本のように話が展開していくのだ。赤い星の王子様みたいな感じ。。。。書き方はいたって丁寧で解かりやすいものの、書いてある内容は結構難しい〜。誰もがいつも当り前のように一緒にいて、一緒過ぎるからこそよく解からない自分が自分であるという感覚、自意識について懇切丁寧に話が展開してゆきます。中には様々な分野の(科学、芸術、哲学)人達が言ったり書いたりした言葉が絶妙に散りばめられていて知的好奇心を刺激される。科学の解からない人でも楽しめる一冊だと思ふ。この人の本は他にあと二冊翻訳されているので、そちらも読んでみませう。

本に出てくるアルベール・カミュの言葉。

「たえず意識を有する精神の目の前にある現在とその推移こそ、不条理な人間の理想である」

作者の解説つきでこれを読むとほおおお〜と深く頷けるのだ。

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by holly-short | 2007-03-14 23:45 | book review

BROKEBACK MOUNTAIN by Annie Proulx

b0090823_2318468.jpg 映画を見てから、原作を読んだからかもしれないけど、、いやいやそれでなくとも、久し振りにググググッと胸にくる短編小説だった。映画とあらすじはほぼ同じでありながらも、細部や、重要な場面から受ける印象はまるで違かったりもした。もちろん、どちらが良いとか悪いとかではなく、それぞれ全く別のものとしてものスゴク楽しめた。訳者も最後に書いているけど、映画でのラストは、「和解と思い出」でしめくくっている。どしらかといえば、、見るものに温かい哀しみを与える終わりかたでもある。しかし、原作の結びは、「葛藤と偽り」なのだ。。。。それは読む物に、少なくともワタシには、やるせない哀しみを残した。

(訳者の言葉より抜粋→)その偽りとはジャックの偽りであると同時にイニス自身に対する偽りでもある。一言で言えば原作は映画よりもずっと曖昧なのだ。だが、この曖昧さと苦さこそ人間の「記憶」を扱ったこの短編の生命がある。

 小説ではまず冒頭、ジャックが死んだ後のイニスの日常からはじまる。映画では描かれていなかった場面。そこでイニスはジャックがいなくなった後もなお、ジャックとのBROKEBACK MOUNTAIN の輝かしい思い出を胸に生き続けようとしている。まるで燃え尽きた炎で、暖をとるかのごとく、、、、、、
「まじまじと見つめない限り、夢は昼の間も消えずに燃え続け、あの底冷えする山で過ごしたかつての日々を、もう一度温め直してくれるだろう。世界は自分たちのもので、間違ったことなど何1つないように思えた日々を、、、、」 mmm、、、映画のレビューでは、イニスがジャックに永遠の愛を誓うみたいな終わり方は陳腐じゃないか?って書いたけど、、、、(今でもその意見には変わりはないものの)、、、ワタシは豊かで自由な時代に生きているからイニスの生活の過酷さを理解出来ていなかったのかな?とも思った。「永遠の愛」、、、とかそんなロマンチックなものじゃなくて、イニスにとってはそれこそが生きる術だったのだな。イニスの最後の言葉「自分が知ったこと、信じようとしたこととの間にはいささか隙間が空いていた。だが、それはどうすことも出来ない。そして自分で解決できないのなら、それは我慢するしかないんだ」、、なんて、あまりにも重たくてワタシ吐いちゃいそう。。。。。。。。小説では、その人間が置かれた揺るぎない環境、絶対的条件がいかにその人間を侵食し、決定付けてしまうのかについて、残酷なまでに無駄の無い文章で綴られている。そして、それは最後の最後まで微動だにせず、変わらないのだ。ジャックは、イニスに大きな変化を強く求めるものの、自体は何ら変化しない。「何も終わってはいないし、何も始まっていないし、何も解決していない」と、書いてあるままに。しかし、だからこそジャックの忘れられない記憶、、、、あの夏BROKEBACK MOUNTAINでの焚火の前でのまどろみながらのイニスの静かな抱擁、嘘いつわりない、魔法のような幸福の瞬間、、、、が苦しい程に美しく輝くのだ。生きていくって、愛するって、とても過酷なことで、時にみじめで、残酷で、あまりにも滑稽で、本当に輝ける時間というのは一瞬しかないのかもしれない。なんだか、眉間に皺が寄ってきちゃったな。。。

 それにしてもスゴイ小説だ。心にガッツリきました。ぜひぜひ他の小説「Shipping News」なども読んでみたい。

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by holly-short | 2006-11-08 23:18 | book review

シンプルな情熱

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 例えば、高級ホテルの妖艶なプールサイドで、夏の夜のちょっとした孤独を最高に贅沢にしてくれるような小説。突然、ふって湧いたような空白の時間に、最高のタイミングで、出会う、ひとつのストーリー。たとえば、モノクロの映像が、色付きになるみたいな鮮やかさで。もやもやと頭の中に佇んでいた感情が、美しく整理され、クリアになるような。そんな解ったような気分にさせてくれる寛容さと、深さを合わせ持ち、私をとてつもなく魅了するテクスト。アニー・エルノーの「シンプルな情熱」は、私にとって至極の一冊だ。

 小説というよりも、プライベートな日記を覗き見ているような、あの感じ。Aという男性との2年にわたる恋愛を、極限まで無駄を省いた剥きだしの言葉で綴るテクストは、まるで恋愛の濃厚なエッセンスだけを抽出したようなシンプルさ。マルグリッド・デュラスの「ラ・マン」と時期同じくして、フランスで出版され、ベストセラーになった本書は、多くのフランス人を魅了し、多くの共感と指示を得た。こういう小説を読むと、フランスという国は本当に、恋愛が成熟している国なのだとしみじみと思う。そして、恋愛が成熟するということは、ある意味とても危険で残酷なことなのだと、思わざる負えない。

訳者:堀茂樹あとがき

「明らかなのは、彼に対するA・エルノーの恋がいわゆるロマンスからは程遠い、激しくて単純で肉体的な情熱だったということだ。彼女は、その情熱をいささかも誤魔化さずに生きた。ただ、生きるとは、溺れることではない。その反対である。一見、矛盾しているかのようだが、A・エルノーというこの女性は、きわめて現実的な思慮分別をもって、
恋の情熱=パッションに燃えたらしい。本書は、その記録。
恋する女、そしてその恋を書く女としてのA・エルノーの姿勢が、どんな罪悪感にも歪められていず、いささかもヒステリックでないこと、率直きわまりない事を強調した。「シンプルな情熱」の特徴は、胸がドキドキしたり、キュンとしたりするような甘い恋愛物語に流れず、性愛の現実を見据えているところにある」

 私は、この小説を読み終えて純粋に驚いた。一見、ハーレークウィーン ロマンポルノにでも出てきそうな不倫の恋に溺れる女の図式にもかかわらず、とても文学的で、数式のように美しいからだ。主人公の女性(アニー・エルノー)は、すべてを直視し、けして目をそらさず、自分自身を観察する。そこから発生する彼女自身の感情を丁寧に、脚色ゼロの単純な言葉で淡々と綴る。この心境や、感情の言語化に私はとても引きつけられ、勇気づけられる。なぜなら、なぜ人は物語を必要とするのか?なぜ私は物語を書きたいのか?その問いに、このテクストは立ち戻らせてくれるから。アニー・エルノーは言う。「本を読むのは、私にとってはいつも自分の生活を違う目で見られるように説明しくれるなにかを探すこと、、、、。」そう。私は、物語を読むことによって、新しい自分自身を発見したいのだ。そして、それは、私自身から逸脱することではなく、より一層私が私自身に近付く為に。

アニー・エルノー本文

「私には思えた。ものを書く行為はまさにこれ、性行為のシーンから受けるこの感じ、この不安とこの驚愕、つまり道徳的判断が一時的に宙吊りになるようなひとつの状態へ向かうべきなのだろうと。」

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by holly-short | 2006-06-24 22:45 | book review

  イルカ  by    よしもとばなな

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以前、よしもとばななと岡本敏子(岡本太郎の?なんだろ?)「恋愛について話しました.」を読
んでとても面白かったので!ぜひぜひと「イルカ」を読んでみる。

対談でも、女性の性、恋愛、出産、みたいなことがテーマだったから、その後に書かれた小
説ってーのは、少なからず、イヤ、たぶん多分に濃く作品の中で表現されているのかな?
とも思いつつ、、、
個人的にはよしもとばななの小説よりも対談集が好き。特にお父さんで評論家の吉本隆明と
の対談集もすごく面白く読んだし、むかし村上龍と対談していたものを読んだ記憶(すげー
昔)があるけど、とても楽しかった。吉本ばななが村上龍の「テニスボーイの憂鬱」に救われ
た!って言っていて、私も「テニスボーイの憂鬱」を読んで救われた!感があったから、印象深く
覚えている。
ストーリーは、33歳恋愛小説家の主人公が恋人(離れられない内縁の妻有)の子供を妊娠
し、出産するまでのお話。正に主人公はよしもとばなな本人なんですよね。妊娠、出産が想
定外だった33歳の女性が妊娠してしまう!ってテーマは、すごく今の時代にマッチしてて婚外
妊娠が進化しているフランスなんかでも売れる小説なんじゃないかと思いました。イタリアで
はすごく人気あるみたいだけど、、、フランスではどうなんでしょう。ちょっと気になります。
正直、私はこの作品にはあまり馴染めなかった。よしもとばななは、本当に素晴らしい作家だ
と思うのだけど、何故かいつも馴染めないのは、主人公とどうしてもシンクロ出来ないから。
隙がないっていうか、彼女独自の世界感をしっかりと持っていて、それはとっても硬い殻に包ま
れていて、付入る隙が無い。とても「個」とか「自我」が確立されていて、主人公は、それを軸に
一歩一歩丁寧に揺ぎ無く突き進んでいく。読者としての私は、指をくわえて脇で眺めているこ
としか出来ないもどかしさというか、「置いてきぼられ?感」を感じてしまうのです。
特にケセラセラの私は、、、、、。
そういう意味では、よしもとばななは読者に媚びない稀な作家なのかもしれないなーとも思
う。ヨーロッパでの大きな支持は、そんなところにあるんではなかろうか。
ストーリーは、「妊娠、出産」が大きなテーマになっているこの作品。
それって私的には頭が????????クエスチョン???マークで一杯になる。
なにせ、私は主人公と同じ年代で、子無し!だから。妊娠、出産に対して、あまり深刻に、真剣
になれない自分ってどーなのよ?と微妙な立場に置かれているような気分に思わずなるわけ
です。←勝手に、、、、ただこの作品を読んで、女ってやっぱり生物学的上、子供を妊娠し、出
産出来るように身体が作られているんだなーっと。男には無く、女に或るスゴイ、凄すぎ
る能力なのだ。
この間、ラジオを聞いてたら少子化問題をどう減らしていくか?っていうテーマで討論が、、、。
コメンテーターのどっか?の先生は、深刻な少子化問題を憂いていた。しかし、視聴者からの
ファックスでは、「少子化でもいいじゃないか。」という意見があまりに多く、テーマは結局「少子
化は問題なのか?」へシフトしてしまった。きっと「少子化」って問題なんでしょう。世界が老
人ばかりになってしまったら、やっぱり困る。やはり若いパワーは必要不可欠だ。産む、産まな
いは、個人選択だと思うし、産む幸せもあれば、産まない幸せだってあるだろう。逆を言えば、
産む不幸もあれば、産まない不幸もあるんだろうけど、、、それは人それぞれなんだろーな。
でも、もし、すべての人間が産まない!を選んでしまったら人間は破滅しちゃうのだ。
悲しいかな妊娠にはタイムリミットがある。無ければいいのにー。と個人的には思うけど、、、
産みたくても産めない人もいる。そういう意味ではとっても微妙な問題。
少なくとも、産みたい!と思っている女性には安心して子供を産める世の中であってほしいと思
う。既婚、未婚は問わず、経済状況も問わず、出来れば男だって出産できればいいのになー
と思うけど、そりゃ無理な話しか、、、、、。で、私はどうなの?と言われるとやっぱり
??????????????        クエスチョンマークが一杯になる   ??????????

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by holly-short | 2006-06-02 21:45 | book review

ペンギンの憂鬱

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 憂鬱のペンギンと暮らす売れない小説家のヴィクトル。
突然ふって湧いたように新聞社からの仕事を手に入れ、死亡記事を書きはじめる。
それと同時に起こる不可解な出来事。

少女          ピストル           死                           現金 
    
       別荘                              愛のない疑似家族          骨壺
   

 ウクライナの重厚な冬を舞台に、まるで絵本から飛び出してきたような登場人物たち。
そんなかわいらしい絵本的なセッティングとは裏腹に物語は、不気味で、非条理に
満ちたブラックユーモアに仕上がっている。

まるで絵の無い大人の絵本(Hじゃない奴ね、、、)といった感じ。

もし、この小説を映像化するとしたら、映画なら断然!キューブリック。 死んじゃったけど、、、、
「シャイニング」の寒々しい緊張感、沈黙、タイプライター、別荘、死、ナイトクラブなど
イメージにぴったりマッチする気がします。ワタシ的には、、、

漫画だったら「サウスパーク」かな。ペンギン、南極、ロシア帽、、、、ブラックユーモア
満点で、そのまんま使って面白いものになりそう。
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読んでて、村上春樹に似てるなーって思っていたら、最後に訳者も、そう書いていたから!
ちょっと小躍。。。。。。ビンゴ!
ロシアで村上春樹はすごく人気があるみたいだから、ちょっとは影響されたのでしょうか?
実際、ワタシも久しぶりに村上春樹の初期の頃の小説を読んだみたいな気分になりました。

続編「カタツムリの法則」って和訳されてるのでしょうか?本屋さんで見かけないけど、
ぜひぜひ読んでみたいです。

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by holly-short | 2006-05-25 21:04 | book review

WATERMARK JOSEPH BRODSKY

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旅行記を読むと旅に出たくなる。
しかし、それは賢明ではないだろう。

学生時代、休みのたびに旅に出かけた。
大きなバックパックを背負って、長期間、無計画に、さまざまな国へ、、、。
だから、私は知っているのだ。
旅の殆どは猥雑なものに満ち溢れ、思うようにいかず、
様々な種類の不安を味わい、異質なものには、なかなか馴染めない。
私はパッケージツアーで、旅行に行ったことがない。
それでも、懲りずに旅に出掛けたのはなぜだろう?
まだ見た事の無いもの、感じた事のない感覚を経験する為?
稀に、突如、偶然にも、前触れも無く、訪れる感動や喜びを期待して?  
、、、不明、、、
ひとつだけ言えるのは、旅は旅それぞれだということ。
旅に出てみなければ、解らない。

 ヨシフ・ブロツキーの「ヴェネツィア」は、詩人の旅の印象記だ。
ヴェネツィアの水と光を背景に、浮かび上がる印象、美しいアフォリズム、
私的な告白、自己探求などが、随所に散りばめられている。
それは、一見無秩序なようでいて、まるで音楽のように美しく絡みあう。
まるで、夜のオーケストラみたいに、、、、。

 「ヴェネツィア」は、詩としても、小説としても、旅行記としても、
至極の一冊だ。高級だけれども気取りが無く、まるで素材そのものといった、
シンプルさで描かれている。

 私は「ヴェネツィア」を読返すたびに、旅に出たくなる。
実際、ヴェネツィアには、何度も行った事がある。
私の旅はいつもあまりに、観光的で、トラブルと隣り合わせだ。
ホテルの予約がとれていなかったり、
美味しいのか不味いのか判然としないようなパスタを
度重なる停電の中で食べたり、
ゴンドラに乗ったはいいが、多額の料金をぼったくられたり、、
そんな感じだ。
詩的で幻想的な要素はほんの少ししかない。
、、、、、勿論、少しはある。

 私が「ヴェネツィア」に強く惹かれるのは、
その美しいヴェネツィアという場所から受ける印象だけではなく、
詩人ヨシフ・ブロツキーの創作の過程が、現場が、
その秘密が描かれているからだと思う。
ノーベル文学賞をも受賞している天才詩人のそのあまりの無邪気さに、
真っ直ぐさに、シンプルさに感動するのだ。

 ヴェネツィアは背景でしかない、
しかし、それは水彩画のように幻想的で美しい背景なのだ。

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by holly-short | 2006-05-03 15:00 | book review