<   2006年 10月 ( 12 )   > この月の画像一覧

「お題小説」         

※ 官能小説という訳ではありませぬが性的表現が含まれておりますので、不快に思われる方は無視してください

ヨーノ君、からたちみかん様、ひ様、網笠せい様、「お題」に参加の皆様、
上記気にならない方は、是非読んでくだされ!!

もう思ったことなんでも書いて!!自分でも何書いたんだか?よく解らん心境なので、、、。

2週間くらい、漠然と「キレイなオネエチャン」について考え続け、この20倍くらい書きまくった
のですが、、、、書けば書く程まるで全然まったくまとまらず、、、結局削って削って、これだけ
残りましたって感じに無理矢理まとめちゃいました!!って、まとまってないかもしれないが、、、
性的表現を露骨に出すのはどうか?とも思ったが、、、ワタシの中での「キレイなオネエチャン」
の第一印象は、すごく性的な感じだったので、あえて含めました。もう、本当に白旗をあげよう
う。あげたい。あげちゃう?ってな心境でしたが、、一応ずっと書くべく努力はしていたってこと
で、、、、ギリギリセーフ?でアップアップな心境でアップしまーす。
現在10月31日11時58分。

push! blog ranking!!!

「お題小説」
[PR]
by holly-short | 2006-10-31 23:57 | 「お題小説」

茶道楽

称好!
普段はコーヒーばかり飲んでいるのですが、ここ2、3日は中国茶三昧の日々を送っております。と、いうのも母上より中国土産にお茶をたくさん頂いたから。ただそれだけなんですが、、、、そのお茶が超美味しくて、香り豊。b0090823_21573577.jpg


特に中央のアンニュイな眼差しをした中国女性が素敵な背の高い缶に入ったジャスミンティは、思わずクラクラっとする程よい香り〜。飲んで、うっとり夢見心地です。(ΦωΦ)上質な茶葉の先端のみを手積みしてじっくり天日干ししているそうで、茶葉そのものからしてビューティフル。葉っぱの形そのままに瑞々しくしっとりと乾燥していて本当に上質なお茶なのねーと思わず納得!!頷いちゃう。。。。それもそのハズこのお茶、中国現地で日本円にして一缶4000円もしたとのこと!!!!「騙されたんじゃないの?」と思わず失言してみましたが、、、ツアーで連れて行かれた国営のお茶専門店で買ったから観光客価格かもしれないけど、、中国でも良いお茶はすごく高価なものらしい、、、、それにしても日本との物価の差を踏まえても、4000円という価格は高すぎやしないか??まー自分では(たぶん絶対)買わないかもしれないけど、、、とにかく妖しいくらいに美味しいお茶であることは間違いありませぬ!美味しいお茶ってこういうお茶のことを言うのね〜、、、中国三千年の味、、、ふむふむ、、、、なーんて、高級というレッテルを貼られ、さらに高貴に湯気まで薫り高いジャスミンティ、本日も美味しく頂きました。一緒についてきたいかにもチャイナのマグカップ「中国」の文字がいかにも中国土産〜って感じです。(中国土産なんですけど、、)「いらね〜」と母上にご丁寧に返却しようかなーなんて、、、

b0090823_21565611.jpg


しかも2つもあるのだよ。。。。。「中国熊猫」ってなんだ?

b0090823_21571097.jpg


お茶をいれると「ななな、なんと!!!

b0090823_21572230.jpg


パンダが現れるのだ!!!!」「熊猫」ってパンダのことなんですね。毎日使っていたら、なんだかとっても気に入ってきました:-)。なんだろー?お茶の魔力か?お茶を入れるたびにちょっと不気味なパンダちゃんが出現!けっこう癖になります。

なーんてお茶を飲みながら、、、、ぼんやりのんびりうっとりしているワタシでありますが、、、そろそろ本腰をいれてお題「キレイなおねえちゃん」の短編を仕上げなければ、、、、キャー時間がニャイよ〜。
push! blog ranking!!!
[PR]
by holly-short | 2006-10-26 22:02 | diary

ユニコーン

「先生今回は、非常に難産でしたよ。」
「難産?」
メグは顔をしかめる。患者Bの顔をまじまじと見つめる。
「と、言いますと?」
「作品を生み出すのに非常に苦労したということです。いわゆる比喩です。」
「ああ。あなたの小説ね。」
患者Bは頷く。胸のポケットの中から小さく折りたたまれた白いわら半紙を大切そうに取り出
し、メグのデスクに慎重に置く。白いわら半紙は、なにか複雑な四足の動物のような形をして
いる。紙の裏には筆圧の強い彼独特の小さな文字がびっしりと書き尽くされ、それらは紙の表
面に凸凹と面白いニュアンスを与えている。
「これは何かしら?」
「ユニコーンです。」
「ユニコーン?」
患者Bは頷く。
「とっても上手だわ。」
メグは感心したように言う。紙で出来たユニコーンをそっと手に取り、あらゆる角度からそれを
眺める。
「先生、気をつけてください。とてもデリケートなんです。」
「そうね。ごめんなさい。これは誰に教わったのかしら?」
メグは慎重にユニコーンをデスクに戻す。
「ミスター田中に教わりました。彼は、ボランティアで折り紙を教えに来てくれている日本人で
す。僕は、はじめ全然興味がなかったけど。紙が好きだし、やっているうちに折り紙の世界に引
き込まれてしまいました。それに僕の作品も折り紙で折りたたまれる事によってより美しく、完
成度が高くなるような気がします。これ、糊もハサミも一切使わないのです。広げればまた一
枚の元の紙に元通り。なんて、すばらしいんだろう。」
「まったく。とてもよく出来てるわ。手先を動かして細かい作業をすることは、脳の刺激にもなる
し、とても良いことだわ。ただし、あまり根を詰め過ぎないように注意してくださいね。」
「じゃあ先生、これからまたミスター田中にアルマジロを教わる約束をしているので、、、、。
また次の時に僕の作品の感想を聞かせてください。今回は自信作なんです。」と言い、人差し
指で意味ありげにメグを何度も指差して、患者Bは診察室を元気よく飛び出していった。
「随分、はりきってますねえ。」
看護士のキャサリンは言う。
「そうね。ちょっと躁の傾向が見受けられるわね。夜、きちんと寝ているかどうか、当直の看護
士に注意するように言っておいてね。安定剤も少し多めにこのまま処方しておくわ。」
キャサリンは頷く。
「でも先生、これ本当によく出来てるわ。本当にハサミや糊を使っていなのかしら?」
キャサリンは、まじまじとユニコーンを眺める。メグも感心したように頷く。
「でもこれじゃあ、一体全体どうやって彼の小説を読めっていうのかしら?」
メグは、ペンでユニコーンを突つく。紙で出来たユニコーンは簡単にバランスを崩して、ゆっく
りと床に落ちていく。
「いいじゃないですか。どっちにしたって読解不可能なんだし、、、」
キャサリンはカラリと言って、ユニコーンをメグの掌に載せた。
「それも、そうね。折り紙はセキュリティの役割も果たしてくれるってわけね。でもこれ、本当に
小さくて可愛らしいわ。」
「私もミスター田中に折り紙、教わって来ていいですか。実は彼、こういうの大好きなんです。日
本アニメのファンで、小さなフィギアなんかも集めていて、、、きっとあげたらすごく喜ぶわ。忍
者とアルマジロを対決させたりなんかしちゃったりしちゃって、、、、」
メグが「どうぞ、どうぞ、」と両手をあげてみせると、キャサリンは鞄を手にそそくさと診察室を出
て行ってしまう。

 メグは鍵付きの棚を開ける。一番上の小さなスペースには、分厚いビニール袋に包まれた患
者Bの小説が大切に仕舞われている。メグはしばし考えた末、中央の棚に詰め込められた書
類をすべて処分し、そこに装飾が美しい高級チョコレートの空箱を置いた。メグは、微かに
チョコレートの香り漂う箱の中に、そっとユニコーンを放した。

push! blog ranking!!!
[PR]
by holly-short | 2006-10-24 21:34 | メグ シリーズ

そうだ京都に、、、

ってな乗りで、突然ですが京都にいってまいりました。すっかり旅行が面倒くさくなった昨今、それでも京都だけは別腹でなく、、別格。ふらりと何度でも行きたくなる場所です。京都などに来ると、、ああー日本人でよかったなーなんてとりあえず思ってみたりするけど、外人にだって勿論京都は心に響くのだな。誰にだって、いいものはいいのだ。いつもワンパターンなワタシは、京都に行くと必ずと言っていい程訪れる「詩仙堂」へふらり、、、、

バスに乗っていったのですが、ドイツ人の男の子と日本人の女の子2人の会話が可笑しくてずっと聞き耳をたてていたのですが、、、(変態?)ドイツ人の男の子、とっても美男子でヘイデン・クリスチャンセン似で超片言の日本語を喋ります。日本人の女の子①は、ドイツ語をしゃべり、女の子②は全くしゃべらない。よって、へイデンと女①はドイツ語でコミュニケーションをとり、女②に通訳。女②は女①の通訳を介してへイデンとコミュニケーションをとるという△図式。だからこそドイツ語の全く解らないワタシでも3人が何を喋っているのか解ったのですが、、、バスはすごく混んでいて、すし詰め状態。

へイデン「ねえ、なんでバスの後ろのドアが開くの?」
女①「後ろは乗る人の為、降りる人は前からお金を払って降りるのよ。」
へイデン「これじゃあ、みんなお金払わなくても出れちゃうじゃない。それじゃなくてもこんな身動きがとれない程混んでいるのに、前からなんて一体全体どうやって降りるわけ??」
女②「無理矢理、是が非でも人を掻きわけて前から降りるのよ。乗る人は後ろから、降りる人は前からって決まっているの。」
へイデン「えええー。こんなにギュウギュウ詰めなのに、、降りられないよ〜。後ろが開いてたら後ろから降りればいいじゃん、ってなるのが自然の道理でしょ。」
女①「駄目駄目、前から降りるって決められてるんだから、」
女②「そうそう。なんとしてでも前から降りるって決まっているのよ。」
へイデン「でもこれじゃあ、お金を払わずに後ろから降りちゃう人だっているでしょ?いるハズだよ。」
女①「いないわよ。日本人は皆ちゃんとしてるから、絶対前から降りるの。」
女②「そうよ。日本人は皆いい人なの。総じて皆真面目なのよ。」
へイデン「でも、前まで行きつかなくて降りれなかったら、どうするの?」
女① 「そういう場合は、声を大にして自分の存在をアピールするのよ。『降ります。降りまーす。降りまああああ〜す!!!』って大声で叫べば、待っててくれるの。」
へイデン「ふーん。変なの〜。」へイデン納得がいかない様子で困り顔?
女②「まったく理屈っぽいんだから、、、誰も後ろから降りないから見てなさいよう。」
女①「そんなこと言っている間に着いたわよ。ほら、その紫色のボタンを押して!!へイデン、いざ降りるわよ!!」
へイデン「うわ〜、降りれないよう。ギュウギュウで無理だよ。ほら、後ろのドアが開いたから、ここから降りよう。前に廻ってお金を払えばいんじゃない?」
女①「駄目よ!!!行くわよ。前から降りるって決まってるの。私にちゃんと着いてきて。」
女①②「降ります。」「降りまーす。」「降りまああああ〜す!!」
へイデン「オリマ〜ス、、、、あははは。」ちょっと恥ずかしそうに苦笑いか?、、、「日本って変な国だね。」
女②「うるさい。とにかく降りるわよ。」

な〜んて感じで、、、現場で聞いてるとけっこう可笑しい一コマでした。。。外国では前払いが多いのかな?私ですら、日本のバスに久し振りに乗ると戸惑うことがしばしば。整理券を取り忘れたり、小銭を持ってなかったり、バスによっては前払いだったりすることもあるから、、、いちいち考えちゃう。

「詩仙堂」、、、、こじんまりしていて、とても美しい日本庭園。
詩仙の間より、のぞむ石庭。

b0090823_23112917.jpg


管理されつくしたお庭。ワビサビ?、、、、宇宙的な感じがするのはワタシだけ?

b0090823_23114585.jpg


後藤繁雄著「独特對談」の中にあったレナード・コレンさんの言葉を思い出す。。。。
「10%質のよいチョコレートをつくるためには、二倍のお金がかかってしまう。これはすべてにあてはまる。クオリティをあげるにはエモーションもお金も時間もとてもかかる。効率から言えば成立しない程に。でも目に見えないインヴィジブルなものこそ美しい。それがワビサビの教え。」
残念ながら紅葉には早かったのですが、、、、小さな秋。

b0090823_23121157.jpg


ギョロ目のいかす障子。

b0090823_23123114.jpg


呼吸する緑。

b0090823_23133926.jpg



帰りの飛行機の中で、、、
機内誌「SKY WARD」より、印象深かったポルトガルが誇る詩人フェルナンド・ペソアの言葉。

「わたしたちはどんなことでも想像できる。なにも知らないことについては」

push! blog ranking!!!
[PR]
by holly-short | 2006-10-22 23:20 | diary

capote.

b0090823_1852685.jpg


 トルーマン・カポーティといえば、ワタシは即座にマリリン・モンローをイメージしちゃうのだな。2人は仲の良い友人で、正に60年代!華やかでポップでサイケでぶっ飛んでいる時代を象徴するアイコンであった。2人に共通する最大のポイントは、セルフプロデュースの天才であったことだと思う。彼らは、いかに自分をよく見せるかを知り尽くし、その為の努力も怠らなかった。天性の才能に恵まれ、それをどう生かし、いかに周囲を取り込むかを熟知していた。天才的な勘の持ち主だったのだと思う。更に、華やかな外側の顔とは裏腹に、内実はとてもセンシティブで壊れやすく、常に不安定さが付きまとった。結局、マリリン・モンローは、睡眠薬の飲みすぎで死亡(自殺?)し、カポーティは、アルコール中毒で死亡する。

映画「カポーティ」では、カポーティの代表作「冷血」を書き上げるまでのエピソードが描かれている。カポーティは、6年もの歳月をかけ「冷血」を書き上げ、その後長編小説が書けなくなってしまう。「冷血」を書きあげること、それはカポーティにとって悪魔に魂を売るような行為だったのかもしれない。その後、カポーティは身も心も崩壊の一途をたどり、20年という永い歳月をアルコールに溺れこの世をさる。「冷血」は、カンザスシティの片田舎で起きた一家殺害の犯人の物語である。事件自体の真相というよりも、殺人犯の男性の心理、生い立ちや家族関係を含め、いかにして殺人犯が殺人犯となるに至ったのか、をきめ細やかなインタビューを元に綴っている。「冷血」は、当時なかったノンフィクションノーベルのパイオニアとして、脚光を浴び小説の世界に新たな道筋を作り出した。カポーティは、明らかに死刑となる殺人犯に接触し、あの手この手で彼らの心を開かせる。最高の弁護士を彼らに紹介し、彼らの相談役も自らかってでる。カポーティは、話術の天才で人の心を開かせるのは朝飯前なのだ。殺人犯を小説の最高の素材、「金塊」と称しつつ、殺人犯との友好を深め、カポーティ同様に恵まれない家庭環境下に育った殺人犯にシンパシーすら感じ、彼らを理解しようとする。勿論、すべては小説を書くために。。。その後、殺人犯はカポーティを最大の理解者であり、友人と慕うようになるのだが、カポーティは彼らに用事が無くなれば、面会に来ることもなくなってしまう。カポーティの作家としてのエゴは、強烈で自分の利益の為にしか彼は動けない人間なのだ。しかし、彼自身はそれを解かっていながら見て見ぬ振りをする。そのうち、優秀な弁護士のおかげで一旦は棄却された死刑執行を「冷血」を書きあげる為に、早急に望むようになる。「冷血」は、初めから殺人犯の死刑執行によって完結すべきと、彼の頭の中で最高なストーリーとしてのプロットが出来上がっていたからだろう。死刑執行の日、殺人犯はアミーゴ(友人)であるカポーティに、自分が逝くところを見守っていてほしいと手紙を書く。そしてカポーティもそれを承諾する。殺人犯は、カポーティの真意を悟った上で、彼を許し唯一の友人として感謝したいという言葉を残す。それでもカポーティーは「自分は出来るだけのことをやった」と涙ながらに殺人犯に訴える。この言葉は彼にとっては本音だったのだろーなあ。最後、殺人犯は死刑執行を目の前に笑顔でカポーティに頷くのだった。

 地味だけど興味深い映画でありました。まあ、別に映画館で見なくてもいいかな?とは思ったものの。ワタシ的には楽しめました!!、、、、隣の人は寝てたけど、、、、。カポーティは、ちょっと分裂気味なタイプなのかな~と、、、、。作家である自分とエンターテナーである自分と、本当の自分自身の折り合いがなかなかつかなくて、故に最後は崩壊していったんじゃなかろうかと、、、、。彼は根っからの小説家だから、小説家としての自分は何をするべきか?時代は何を求めているのか?解かっちゃう。だからこそ、それに邁進するんだけれども、それ以外のところではなかなか全然気持ちが動かないわけです。いわゆるアーティストとして根っからのエゴイスト。本気で助けるつもりは毛頭無かったと思われる殺人犯と心を通わせ、彼らをネタにして最高の作品を書き上げた。少なからずとも一見彼らの為に尽くしているようにも見えた手前、彼自身は彼らの為にベストを尽くした筈と、思い込みたかったんだろーけど、、、、実際に残酷なこう死刑の現場を目撃したことで、見て見ぬ振りが出来なくなってしまったんじゃないかしら。。、殺人犯の中にあった「冷血」を自分の中にも見たんじゃないかな。そして、それは彼自身が高を括っていたよりも、大きな心のトラウマとなって彼自身を侵食した?、、、、。彼の小説家としてのエゴが、彼自身を殺してしまったのだな~。もちろん、これは映画だから実際はどうなのか解からないけれども、、、
これはもう「冷血」を読んでみるしかありませぬ!!!

PS.カポーティの幼い頃からの友人で「アラバマ物語」の作者であるネルを演じている女優さんがとっても素敵だったなあ。40台後半くらいかな?と思うけど、、、あの雰囲気、あの笑顔、素敵。で、煙草を吸うシーンがなんともイカスのだ!!ああいう喫煙シーンを見せつけられると、こっちまで煙草吸いたくなっちゃうな。。。(後で知ったけど、、マルコビッチの穴に出ていた女優なんだね。。)アカデミー賞の候補にもなったみたいだけど、、ワタシとしては主演男優賞を獲ったフィリップ・シーモア・ホフマンよりも、彼女にあげたい気がした。(けして偏見ではなく、ああいった女性らしさを強調したホモセクシャルの演技って巧い?つーよりも、物真似に近い感じがしてしまうのだな。。。演技=物真似?癖というかキャラが強すぎて巧いんだか、何なんだかよくわからないなっちゃうの。。。でもきっと巧かったんだろうな、、、多分。

b0090823_18522196.jpg

push! blog ranking!!!
[PR]
by holly-short | 2006-10-20 18:54 | movie

MASK.

「先生、息子はいつも何かに脅えているんです。誰もいないのに、まるで誰かに話しかけている
みたいに、、、ブツブツと独り言ばかり言って、、、、」
ミセスFは、皺ひとつ無くアイロン掛けされ几帳面に折りたたまれたハンカチで涙を拭う。ミスタ
ーFは、ミセスFをかばうように背中をさすり、震える彼女の細い手を握り締める。メグは、看護
士のキャサリンにコーヒーを煎れてくるように目配せする。
「私が言うのもなんなのですが、ウチの息子はすごく、飛び抜けて優秀なんです。まだ15歳な
のですが、飛び級してもうすでに大学に通っています。数学を専攻していて、大学の寮に入っ
ているのですが先日研究室の教授から息子の様子が少しおかしいと連絡があって、、、、。独
り言が通常の枠を越えているって言うんです。被害妄想も強くて、いつも何かに脅えていて部
屋に閉じ籠ったきり出て来ないから迎えに来てくれと連絡をもらったんです。」
メグはゆっくりと頷き、カルテにメモをする。
「それで、今はご自宅に戻られたわけですね。」
ミセスFは頷く。ミスターFは何も言わず、疑心暗鬼の表情で眉間に深い皺を寄せている。
「ご自宅ではどんな様子ですか?」
「自室に引き籠りっぱなしです。そして誰かにブツブツと話しかけているんです。私が、誰に話
しかけているの?と聞くと、息子はそこにいる地球外生物にだって、、、、、言うんです。それが
僕に電波を送るんだって、、、、。それが僕の頭の中を独占しようとしてるって、、、、。僕はそ
れと戦わなくちゃいけないって、頭を抱えて込んでしまって、、、もう私、どうしたらいいのか解
らなくて、、、、。」
ミセスFは止まらない涙を何度も何度もハンカチで拭った。
「病院へ、連れてくることは可能ですか?」
「先日、もっとこう、簡単なクリニックに息子を連れて行ったんです。無理矢理車に乗せて。多
分、きっと勉強のし過ぎで疲れたんじゃないかと思うんです。なにか精神安定剤でも貰って少
し休めば治るんじゃないかと思って、、、、でもお薬を飲んでも何の変化も無かったんです。主
人が無理矢理薬を飲ませたものですから、余計頑なになってしまって、私達にすら心を閉ざす
ように、、、。今日も主人が無理矢理引きずって連れて来ようとしたんですが、階段の柵にしが
みついてしまって離れないんです。」
ミセスFのグリーンに輝く目の周りを溶けたマスカラが黒く縁取る。黒い涙が幾重にも頬をつた
う。看護士のキャサリンは香ばしいコーヒーの香りとともに、何食わぬ顔で診察室に戻ってくる。
メグは、2人にコーヒーをすすめるが、2人はそれを眺めるばかりで、口をつけない。
「うちの息子は、あれは、精神病なんですかね?」
今まで黙っていた、ミスターFは唐突に沈黙を破る。
「それは、お話を聞いただけでは解りません。勿論、その可能性はゼロではありません。でも、
病気といっても様々ですし、ここに来たからといって、病名がすぐに特定出来るとも限りません。
投薬をしながら様子を看てみなければ何とも言えない場合が多いのです。」
「それでは、病院の意味がないじゃないか。こちらとしても治療をする以上、きちんと責任を
持って直してくれなくては困るんだ。」
ミスターFは、威圧的にメグに怒鳴りつける。ミセスFは、ミスターFの小刻みに震える大きな手
を更に震える白い手で、押さえつけるように握りしめる。メグは動じず、ミスターFを見つめる。
「精神病の場合は、病名の特定は難しいんです。症状も患者さんよって、ケースバイケースで
す。すぐに完治する場合もあればあれば、長い時間をかけて徐々に治っていく場合もありま
す。とにかく、病院に連れて来ていただかないことには、こちらとしても何とも申し上げることは
出来ないのです。」
「息子のことは無理にでも病院に連れてきます。あの妄想を直さないことには、まったくもってど
うにもならん。いくらこっちがお前のそれは幻覚だって言ってやっても、あいつは全く聞き入れよ
うとしないんだ。以前はあんなことはなかったのに。あれは、本当に優秀な男なんだ。」
ミスターFは強い調子で言う。
「あなた、手荒にはしないで下さい。息子がこんな風になってから、私達も本当にまいってし
まって、、、息子と主人の仲もとても険悪で、、、、息子も脅えて部屋から出て来ようとしないん
です。」
「そんな風に、頭ごなしに息子さんを非難してはよくありませんわ。息子さんが病気かどうかの
判断はつきかねますが、出来れば息子さんの意志で病院に来て頂くのがベストです。例え
ば、息子さんが困っている症状に焦点を合わせてあげてください。つまり、「そのイライラを落ち
着けるために病院へ行こう」とか、「不眠に効く薬がないかどうか聞いてみよう」とか、少しでも
本人が現状を改善する為に、病院へ行くという意識を持ちやすいように説得できればいいので
すが、、、、」
メグは言う。ミセスFはうなだれるように頷く。
「うちの身内には、頭のおかしな奴などいないんだ。」
ミスターFは、眉間に更なる深い皺を加えて吐き捨てるように言う。
「息子さんの場合、落ち着いて様子を看る為にも一旦強制入院が必要になるかもしれませ
ん。」
メグが入院の可能性を示唆すると、ミセスFは入院施設を一度この目で見ておきたいと、希望
した。メグは2人を病棟に案内した。メグは出来るだけ息子さんと同じ年代の若い男の子が集
まる病室に連れて行く。
「ここでは、若い患者さん達も、、、」と、言いかけた所で、メグは自分の目を疑い、言葉を失っ
た。何故なら、そこには鼻がピノキオみたいに突き出た顔の無い赤いお面を被った男や、バット
マンみたいな黒い耳を頭に尖らせた男が患者と楽しそうに話していたからだ。

b0090823_21272119.jpg














「あなた達、一体、、、」
メグはミスターFに負けない位の深い皺を眉間に寄せた。ミスター&ミセスFも呆然とその場に
立ち尽くしている。そのうち、廊下から、いかにも安っぽい音質の音楽が聞こえてくる。
ジャンジャンジャーン、ジャ、ジャジャーン、ジャジャジャーン、、、ジャンジャンジャン
どこかで聞いたことのあるテーマソング、、、。スターウォーズの、、、、メグが思い出そうとした
その瞬間、扉の向こうから大きなマントと全身黒い衣装にに身を包んだ鎧兜の男が登場した。
そう!ダースベーダーのテーマソング。メグは思い出す。ダースベーダーは、映画の中でやる
ように機械的な呼吸音をその通気孔のような口からスー ハー スー ハー と吐いては吸う。子
供達は、羨望の眼差しで、ダースベーダーを見つめ、オー!!という小さな歓声と供に彼を迎える。
「ちょ、ちょっと、あなた達一体何をしているの?」
メグは困惑顔でコスプレ3人男を問いつめる。ダースベーダーはけして取らないはずの鎧兜
を、ヒョイっと簡単に取り外した。そこには見慣れた顔があった。
「ドクターD、、、一体ここで何をされてるんですか?」
メグは再び驚く、眉間に皺を寄せたままに、、、。
「やあ、メグ。今みんなでハロウィンパーティの衣装合わせをしていたんだ。誰が一番似合う
か、子供達に見てもらおうと思って、、、」と、舌を出してみせる。
子供達は皆大ハシャギだ。私達の驚く顔を見て、さらに新たな笑いが沸き起こっている。
「あの、こちら院長のドクターDです。」
メグはとりあえず、といった風にミスター&ミセスFに彼らを紹介する。バットマン風の男はよく
見るとドクターK。長い鼻のお面の下からは、ドクターPが恥ずかしそうに顔を出した。メグは呆
れ顔で彼らを見つめる。
「いや〜、その再来週のハロウィンパーティに向けて、皆気合が入っていましてね。患者さん
も、こういったイベントは楽しみにしているんですよ。入院しても寝てばかりでは退屈ですから
ね。ま、これも治療の一環と言いますか、、、」
ドクターKは、尖った黒い耳の脇を掻く。ミセスFは、思わず笑い出す。しかし、眉間に深い皺を
寄せたまま仁王立ちしたミスターFを見て、またしょんぼりと黙り込んでしまう。ミスターF
は、「おい、もう行くぞ、」とミセスFに声をかけ、病室を出て行ってしまう。ミセスFはその後に続
き、メグも足早に彼らの後を追った。途中白い被り物を頭からすっぽりと被り、オレンジを耳に2
つ取り付けた男とすれ違う。

b0090823_21281236.jpg





















ミスターFは一瞬ギョッとし、「馬鹿馬鹿しい、」と捨て台詞を吐いて、そそくさと病院を出ていっ
てしまった。顔の見えないオレンジ男は「やあ、」とメグに挨拶する。ミセスFは、メグに謝る。
「そんな、こちらこそ申し訳ありません。いつもは、あんなことは無いんですけど、、、たまたま月
末に病院内でハロウィンパーティの予定があるものですから、、、、。長期入院の患者さんが退
屈しないように、色々なイベントを企画しているんです。とにかく息子さんを是非どうにか病院
に連れて来てみてください。さっき目にした異常な光景が私達の目に現実として映るように、
息子さんにとっては、無いはずの存在が現実のものとして見えてしまっているのかもしれませ
ん。それは本人にとっても、とても苦しいことです。頭ごなしに否定をせずに、説得出来ればい
いのですけど、、、」
ミセスFは頷く。

 メグは誰もいない診察室に戻る。手のつけられていない冷えたコーヒーを飲みながら、カル
テを書く。地球外生物との対話。電波系?、、、、郵便物の上に茶色いランチバックに包まれた
メグ宛の小包が置かれている。ランチバックには、ペンで大きく「院長命令。マスクを被って至
急303号室へ集合せよ!」と書かれている。メグは紙包みを開け、中味を取り出す。ゴム性の
不気味な黒いマスク。強いゴムの匂い。2つ大きな穴が吸い込むようにメグを見つめる。

b0090823_21293193.jpg














push! blog ranking!!!

vonn sumner Artwork
[PR]
by holly-short | 2006-10-18 21:34 | メグ シリーズ

編み物に欲情する秋

b0090823_2350487.jpg編み物的 お仕置部屋?
























「女心と秋の空」なんて言葉もあるくらいだし、秋ともなれば女心はさらに血迷いやすいものなのかしらん。。。。秋になると必ずといっていい程憧れてしまうもの、それはなんと言っても「編物」でございます。編物に憧れてはや十数年、もちろん編物教室なるものにも通った経験もございますが、いつもへこたれて結局は辞めてしまう。なんかつまらなくなってしまうの。変な婆さんが着るみたいなだぼついたセーターなんかを作らされたり、誰かが作ったかも解からぬようなセーターを半ば強制的に買わされそうになったり、(私の通った教室だけか?)よき先生、よき編物教室に恵まれなかったってこともあるのだな。(けして自分のせいにはしないゼイ、、、)作りたいものが作れるようなハイセンスな編物教室どこかにないかな~。そこに通えば、私だって編物が出来るようになれるハズなのに、、、、。もちろん何冊も編物の本は所持していますが(衝動買いの結果)本だけ見ては作れませぬ。これまた私の買った本がまったくもって初心者向けでないのだな。なにせ半分以上は海外のもので、なにが書いてあるのかすらサッパリさの字だったりする。いつも指をくわえて見てるだけ。。。でも幸せなんだけどね。。。。。
編物なんて、洋裁に比べると、その1作品の制作にかかる時間と労力は数十倍!!!!そんな時間をかけて自分の気にいったものを作れないのなら、もう私は全然やる気がなくなってしまうゾ。洋裁でだって、セーターもどきのニットは簡単に作れちゃうし、今時はセーターっぽい素敵な生地もたくさん売っていて相当かわいいものが手軽に出来ちゃうわけです。値段だって毛糸を買うことに比べればかなり安い。と、なると洋裁でいいじゃーんって思ってしまうのだ。して、わざわざ長い時間と労力とお金をかけて編んだ物がいまいち?では困るし、納得できない。ってよりも、許せない!であれば、編物などに用事ないなっと思ってしまう。でもでも、だからこそ!それ故に編物を習う時には私が頭に描いているような編物教室に通わなければならないし、作るものはある程度のクオリティを求めちゃう。と、どうしてもハードルが高く高くなってしまう。編んで作ったセーターは、やはり洋裁で作ったセーターもどきには到底勝てない深い味わいと魅力があるハズなのラ~。と、高い理想を打ち立てつつ、信じて疑いませぬ。。それに編物をしている姿ってなんとも神々しくって、憧れちゃう。愛情だって編み込んじゃうぞってな勢いで!編物に対する憧れは秋にはどうしても高まってしまうのでした。とりあえず高まるだけだけど、、、、、:-P。
push! blog ranking!!!
Beutiful art made with kintting
[PR]
by holly-short | 2006-10-16 23:47 | diary

aviator

ながらやり中毒で一度に複数のことをするのが大好きなワタシにとってバックグラウンドとして
の音楽や映画は欠かせませぬ。映画なんかは、ちょっと気に入れば何度でも何度でもしつこく
見ちゃう。と、いっても一点集中するわけではなく、何か他のことをしながら見るんだけ
ど、、、。だからこそ、何度も見たことのある映画が丁度Eわけです。テレビだと、、思わずテレ
ビに集中して、他の作業がフリーズしちゃうもんね。たまにだけど、、、もちろん初めての映画は
集中して見まする。ここ半年間、何度も何度も繰り返し見ている映画の1つが、「アビエータ
ー」。といっても洋裁のお供なので、ただ流しているだけとも言ふ。先日DVDをいらない本と
一緒に売っ払ってしまったので、reviewなど書いてみる。といっても、随分前にメモ書きしたも
のの焼き鈍しなのですが、、、何度も見たので、それはそれで印象深い映画のひとつです。

幼い頃の夢は、なかなか現実と折り合いがつかず、大人になるにつれ、かつての熱い思いは
薄れていくものだ。寂しいけど、それが現実だろう。ハワード・ヒューズにとって、夢とは、まさに
叶える為のものであった。子供の頃からの夢、「世界1のパイロットになること」「世界1のお金
持ちになること」「世界1の映画監督になること」、、、、叶わなかった夢として「プロゴルファーに
なること」っていうのもあったらしいけど、、、、それでも彼はシングルプレーヤーで女優キャサリ
ン・ヘップバーンと自分の庭でもあるゴルフ場で存分にゴルフを楽しんだ。 自分の庭にゴルフ
場があるなんて、、、じゃなくて、自分の庭がゴルフ場なんて羨ましい。。。。。
取り憑かれたように、夢に邁進する彼は、その実現の為ならすべてを惜しまない。破産に追込
まれるような多額の資金も、パートナーとの時間も、自分の命さえも捧げてしまいそうな勢い
で猛然と突き進む。そのパワーと、熱意によって、周囲の人間を巻き込み不可能を可能にして
しまう。何度も世界最速飛行を打ち立て、世界一巨大な飛行機を設計し、それらのテスト飛
行を自らかってでる。(失敗して命にかかわるような大怪我をしても、へっちゃらだ)莫大な予
算を投げ打ち空中飛行撮影をふんだんに盛り込んだ「地獄の天使」を完成させ、映画監督と
しても、実業家としても、破天荒な大事業を成し遂げてしまう。彼にとっては、お金や名声、権
力などは、オマケに等しく、彼は常に物事のクオリティー、本質のみにこだわるのだ。そんな彼
の私生活は、一見華やかであったものの、彼自身はいつも孤独だった。夢に熱中するあまり、
最愛のパートナーであった女優のキャサリン・ヘップバーンともすれ違い、彼女は彼の元を去
る。極度の神経症で、ドアのノブにも触れず、感染やばい菌を恐れるあまり、普通の生活が出
来ない。なにかに、囚われるとそれが、頭から離れず、言語障害や、妄想にまで発展してしま
う。華麗なるビジネスや夢の成功とは裏腹に、彼自身は少しずつ着実に崩壊していく。3回の
結婚、ホテルでの引きこもり生活は、二十年以上もつづき、自らをバイ金から隔離する為と称
して不可解な儀式と妄想に取り憑かれていく。彼は果たして幸せだったのだろうか?彼程、大
きな夢を打ち立て、それを実現させた人物はそうはいない。彼は正に世紀の大物であった。そ
の感性は常人のものとはかけ離れ、彼の成功の峰は限りなく高いがゆえに、彼の不幸の溝も
伺い知ることの出来ぬ程に深かったのかもしれない。もやもやとしたやるせなさが、最後の最
後まで残像のように残る映画です。

b0090823_23305259.jpg









ハワード・ヒューズ役は、レオナルド・ディカプリオ。「タイタニック」でワタシ的にはコケタ?
感があったディカプリオも「アビエーター」では最高の演技力を余すこと無く発揮しているような
気がします。他の感想など読んでると、、、いまいちの人が多いみたい?、、、長すぎるとか、、
ディカプリオがいまひとつとか、、、そっかあな〜ワタシにとっては(いろんな意味で)長い方が
好都合だし、最後のオカシクなってくる感じもよかったけれど、、、、、
ワタシはディカプリオ、俳優としてかなり好きなのですが、いまいち良い作品に恵まれていない
ような気もします。個人的には、詩人ランボーに扮した「太陽と月に背いて」のディカプリオがど
うしょうもなく好き。あの映画は本当に大好きで、死ぬ程見てるな、、、永久保存版。
push! blog ranking!!!
[PR]
by holly-short | 2006-10-13 23:29 | movie

小さな人間たち


2ヶ月前の夏。

患者Eは退院を目の前に希望に満ち溢れていた。
「もうすぐ、娘の家が建つんです。以前から、娘はいずれ家を建てることが出来たなら、一緒に
住もうって言ってくれていたのです。だから別れた夫の慰謝料と私の年金を工面しました。少
しでも助けになりたくて。病気も早く直したいんです。」
「よかったわね。はやく病気を治しましょう。薬をきちんと飲んでいれば、あなたなら大丈夫よ。」
メグは言う。
「はい。孫たちもすっかり私になついていてグランマと一緒に暮らしたいっていつも言ってくれるのよ。」
「そう、よかったわね。あなたはラッキーね。」
メグは微笑む。
「そう。私はとてもラッキーだわ。たぶん幸運の星の元に生まれたのね。神様のお陰だわ。」
患者Eは、大きな胸に乗るようにぶら下がったクロスのペンダントをしっかりと握りしめる。大き
く握られた手で小さく十字をきる。
「試しに少しずつ娘さんのお宅に外泊されたらどうかしら。長い入院生活ですもの。無理せず、
徐々に新しい生活に慣らしていく方がいいと思うわ。」
患者Eは頷く。
「許可は私が出しますからいつでも看護士かソーシャルワーカーに申し出てください。」と付け
加え、メグはカルテにその旨を記載する。57歳、女性、統合失調、軽度の妄想癖、長い長い
小さな人間たちに関する妄想リストの下の下の方に「外泊許可」と記載し、サインをする。

1ヶ月前。

「先生、酷いんです。」
患者Eは顔を歪める。
「どうしたんですか?」
メグは椅子に軽くもたれるように腰掛け、冷静な調子で聞く。
「娘が、、、ようやく家が建ったのに一緒に暮らせない。と言い出したんです。孫たちだって、私
と一緒に暮らすのを楽しみにしていたのに、、、、。薬だってちゃんと毎日飲んでるし、病状だっ
てとってもいいんです。それなのに、それなのに、、、、やっぱり私とは、一緒に暮らせないっ
て。たまに外泊に来るだけにしてくれって、言うんです。」
メグは、患者Eを見つめたまま、相槌を打つようにゆっくりと頷く。
「頭金だって、私が払ったんです。なのに一緒に暮らせないなんて、何故かしら?理由を尋ね
ても言ってくれないんです。私たちには私たちの生活があるからやっぱり一緒に暮らすのは無
理だって、、そんな風に、、、。私だってその一部なのに、、、、。私に悪い部分があるなら直す
からって、努力するからって言っても聞き入れてもらえないんです。」
患者Eは大きな目に大粒の涙を溜め、顔を曇らせる。ポケットの中から皺くちゃに丸められたハ
ンカチをとりだし、鼻をかみ、涙を拭う。
「そうですか。それはとっても残念だわ。でも外泊は出来るのだから今まで通りお薬は飲んで、
病気を直すように努めましょう。なにはともあれ、健康でなくては何もはじりまらないわ。出来る
事からやらなくちゃ。とにかく生活を改善していかなくてはいけないのよ。私たちは、あなたが
ここにいる限りいつだって相談にのるわ。」
患者Eは大きく頷き、何度でも鼻をすすり、ハンカチで鼻をかむ。肉付きのよい丸い肩をヒック
ヒックと上下させ、大きな胸を膨らませ、湿った息を何度でも吐く。
「でも、治ったからって、何だっていうののかしら?」
患者Eは涙声でクロスのペンダントを濡れた手で祈るように握りしめる。

10月のある日。

「先生、私もうここに一生住むって決めました。」
患者Eはきっぱりとした調子で言う。
「でもここは病院ですよ。ちゃんと病気を治して退院しなくちゃいけないわ。」
メグは言う。
「でも私には帰る場所なんてありませんもの。娘の家にはもう行くのを辞めました。」
患者Eは、大きく目を見開き、しっかりとした調子で言う。
「でも、たまには外泊をして、お孫さんにお会いになる分には、何の問題もないんじゃないかし
ら。気晴らしにもなるし、病院に引き籠ってばかりじゃ返ってよくないわ。」
メグはボールペンをカルテの上でゆらゆらと揺らす。下唇を軽く噛みしめる。
患者Eはさらに大きく目を見開く。ふくよかな手を大きな胸にあてる。
「でも、私あの家が怖いんです。あの家はおかしいわ。」と深刻な調子で言い、両手で口を覆う
ように輪っかを作る。
「実はね、この間外泊した時、私しっかりこの目で見ましたの。子供部屋で小さな人間たちが
ウジャウジャと行列をなして歩いているところを。孫たちに「ほら、あそこに小さな人間たちが
いっぱい遊んでいるわよ。あなたたちも好き勝手に歩きまわったら、彼らを潰してしまうわ
よ。」って言いましたわ。だって、小さな人間たちが笑ったり、喋ったり、やりたい放題なんです
もの。玩具をそこら中に散らかして、邪悪な顔で私に笑いかけるんです。なのに私の娘ったら、
私の孫たちを頭ごなしに叱るんです。玩具を片付けろって。あれは、彼らの仕業なの
に、、、、、、可哀相ったらないわ。私見ていられないの。そして、彼らが気味の悪い歌を歌うも
んだから、私気味が悪くて、、、、」
患者Eは、首を何度も横に振り、可哀相可哀相、おかしいおかしい、不気味不気味と何度でも
繰り返す。メグは、唇を強く噛みしめる。
「最近、薬をきちんと飲んでいないでしょう。看護士から報告がありましたよ。ベットの下からた
くさんの薬が出てきたって、全部あなたの薬です。ちゃんと薬を飲まなくちゃ治るものも治らないわ。」
患者Eは唇を尖らせてメグを睨みつける。
「だって、私は病気じゃないもの。なんで薬を飲まなくちゃいけないの。たぶん小さな人間たち
が薬を運んでいったに違いないわ。私に必要じゃないから、彼らが隠したんだわ。」
患者Eは、メグを睨みつけたまま、もごもごと語り続ける。声にならない声、意味不明の言葉。
いつまでも喋り続けて、メグにツバを吐きかける。患者Eは看護士につれられて病室に戻
る。彼女が去った後、メグはいつものように一人、病室に残される。カルテを書く。小さな人間
たちについての記述。メグは振り向く、もちろんそこには小さな人間たちなどいないのだけど。

push! blog ranking!!!

b0090823_2401224.jpg












Edward del Rosario Artwork
[PR]
by holly-short | 2006-10-12 02:43 | メグ シリーズ

秋の夜長のイニミニマニモ。

b0090823_2212428.jpg





















Mark Rothko Artwork

秋ってなんだかちょっと憂鬱に陥るのはワタシだけなのでしょーか?秋といえば、食欲の秋だ
し、芸術の秋、読書の秋、体育の秋などなど「なんとかの秋」のオンパレードで楽しく優雅な
季節なはずでありますが、なぜか何にもやる気が沸かない。して、無理やり沸かせたとしても、
それは漠然としていて、収集がつかない。だいたいワタシは、なにを選べばいいのか?なにが
したいのか?はたまた現状維持すべきか?なんてー考える必要があるのか無いのかも解から
ぬような懸案事項を勝手に並べ立ててみたりなんかしちゃって、、、、とにかく雲行きが怪しく
なるのだな。。。呪われたタロットカードを血迷って並べているかのようだ。
はあ〜。(そして溜息などすぐつきたくなるこの感じ)
もともと夏が大好きなワタシにとって、この不安定な感じの涼しさや、枯れ葉チルチルミチル
の寂しい雰囲気は、肌に合わない。冬は好きくないけど、、、と言うよりも嫌いだけど、、、、い
ざ冬になれば覚悟と度胸で強気になれるワタシも(本当—か?)、どーにもこーにも、秋は駄
目。これって厳しい冬を乗りきる為の準備を促す体内システムによるものなのかしらん。原始
時代であれば、冬に備えてあらゆる準備に忙しく奮闘しなくちゃいけない時期でもあるわけ
で、不安や恐怖や心配があるからこそ、真に必要に迫られる。大むかしは食べる、生きるに、
日々命がけ。であれば、きっと悠長に鬱々とする余裕すらないに違いない。蟻とキリギリスよろ
しく、準備を怠る輩は寒い冬は越せないのだよ。しかし、今の人間社会ではそんな準備なくと
も、ぬくぬくとすごせちゃうのよね〜。幸運にも!悲しいかな。。いてもたってもいられぬような、
漠然とした不安を抱えながら、、、、ってワタシだけか、、、なんて、秋の夜長はゆるゆると物思
いに耽るには深刻な季節なのでありまする。まっ、ようするにワタシ暇なんだな、、、、
この支離滅裂な感じも、、、きっと秋のせいに違いない。。。。
push! blog ranking!!!
[PR]
by holly-short | 2006-10-10 21:55 | diary