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 洋裁メモ。

b0090823_21241844.jpglisakokin Artwork
よく家事とかちゃんと出来るの?と心配されるワタチですが、、、、見かけによらず?女らしいことが意外や意外に得意だったりする(本当か?mmm、、、)料理や掃除、、、、掃除は、まあ致し方なくやっているけれど(時として、、いや大抵嫌嫌??、、、、、)洋裁だけは別格!完全なるワタシの趣味であります。なんでも自分で作るのが好きなの。しかも、洋裁は経済的だし自分で着れるってとこが楽しい。消耗品ってとこも、アッサリしていてワタシの気質に合っているのだな。例えば、陶芸とか刺繍とかパッチワークとかだと、作ったものがある種一生もの?みたいになっちゃうじゃん、そういうのはワタシの気風に合わなかったりする。作って、着て、捨ててみたいなのがいいの。んで、最近は子供服を作るのがすごく楽しい。この間、実家に暇つぶしに行った時、妹と妹の子供(2歳)と一緒に新宿伊勢丹の子供服売り場をパトロールしに行ったのですが、カワイイ子供服にウットリ。最近は、有名ブランドも子供服のラインを出しているし、セレクトショップなんかもあったりして、国内外の個性的で上質な子供服を取り揃えています。見た目も、素材も、作りも最高に上質なのだけど、、、、それ以上にお値段も張る!張る!それこそ、同じ値段で大人の服が裕に買えてしまうような価格帯なのだよ。上から下まで高級ブランドに身を包んだアダムスファミリー?みたいなマダムが、オシャレなキッズを引き連れて買い物されていました。とりあえず、買う気がさらさらないワタシたちは、子供服を入念に、見るわ、触るわ、手で長さを測るわ、目カメラにしっかりと形やデザインやイメージを焼きつけてまいりますた。。。もう、怪しいってくらいに真剣に!創作意欲に胸を膨らませつつ。。。。「お子さんに試着されますか?」の店員さんの声も耳に入らない勢いで!その間、妹の娘(2歳)は店内で展示されている高級イタリア製木馬に乗ってご満悦?でした、、、。MARNIの子供服がすごく可愛くて是非是非参考にしたいのだけど、、、、、さすがに作りも複雑難解で、「ねえ、カメラに撮っちゃ駄目かな?」とりあえず聞いてみるワタシ、、、「駄目に、決まってんじゃん。恥ずかしいから辞めてよ!」なにしだすか解からない姉に警戒する妹。なんて感じで、、、、さすがの店員さんも「一体このヒトタチ何?」と思われたかも。。。ま、そんなこと気にならないくらいに熱中していたんだけど。。。。結局、妹の娘には500円のキティちゃん釣竿(ラムネ入り)を買ってごまかし?帰ってきますた。でも彼女には、これが一番嬉しかったするのだな、、、、。驚喜して釣ごっこしてました。。。もちろんお洋服などにも一切感心ナシ。。。アンパンマンのパジャマやプーさんのトレーナーなどが一番喜ぶらしい、、、、親の心子知らず。逆もしかりか、、、、。ワタシはその後、布問屋が集まる日暮里にも行って、布をイロイロ物色しつつ自分用に一万円分くらいの布を買ってまいりました。久しぶりの日暮里クルーズ!楽しすぎる。時間もないのに、布ばかり(まだ洋服になっていない在庫も家にまだまだあるのだ。。)集めてどうするんだろう。。いつか、きっと、そのうち、、、、、布フェチだからいいか。。。。
さっそく家に帰ってきて妹の娘の洋服を作成。買ってきた布とも、見てきた服ともまるで関係ないんだけど、、、とにかくカワユク出来たので(←自画自賛)ここに披露。

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え!バーニーズ?
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by holly-short | 2006-11-28 21:39 | 裁縫

絶望

b0090823_18575376.jpgAlex Kanevsky Artwork


 朝、目覚めると深い哀しみに沈んでしまっている。嫌な夢のせいかもしれない。特に寒い冬へ
と向かうこの季節が、メグは苦手だ。青白い夜明けの微かな光がブランドの隙間から漏れて
いる。まるで夕暮れ時みたいに薄暗く、寂しい。メグは思わず、温かい布団のなかでぐずぐず
と蹲る。きっと、生理前なんだわ、時として生理前は身も心も情緒不安定に陥ってしまう、ホル
モンのバランスが揺らいでるのに違いない、と。もう長年、毎月毎月約30年間もの間、これを
繰り返しているのにもかかわらず、いちいち感傷的になる自分自身が馬鹿馬鹿しくも惨めに思
える。そして、これまたお決まりの何処からともなくフツフツと沸き上がってくる自己嫌悪の感
情がメグを性懲りもなく落ち込ませる。一時の感傷であると解かっているにもかかわらず、まる
で一生この哀しみに囚われながら生きていかねばならないのだと、極端に途方に暮れてみ
る。きっと温もりが足りないせいだわ、とメグは思う。恋人がほしい。一体、私の恋人達はどこに
行ってしまったのかしら、、、、と。いや、猫でもいい。とりあえず抱き枕でも買ってくるか、など
と、とりとめも無く思いを巡らし、意味もなく目頭を濡らす。

目覚し時計のベルがけたたましく鳴る。メグは目覚めているので、即座に身体を起こしてそれ
を止める。熱いシャワーを頭から浴びる。ゼラニウムの香りが漂う植物性のシャンプーで丁寧に
髪を洗う。湯気の立ち上る身体のままバスローブを着て、プランターの植物たちに水をあげ
る。「おはよう、」と植物たちにそっけなく挨拶する。もちろん植物たちはなにも応えてくれない。
髪をドライヤーで乾かし、とろんとした冷たいローションを肌に叩き込む。ドゥ・ラ・メールでも
らった試供品のファンデーションを試すように指肌でのばし、きめ細かいパウダーをはたく。繊
細な感触とつけ心地、艶っぽくナチュラルな質感に購入を心に決める。下着ををつけ、ベー
ジュのニットにダークグレーのパンツを穿いて、白いマフラーをぐるぐると巻きつける。小さくも
大きくもない鞄に、携帯電話、スケジュール帳、万年筆、鍵の束、お財布、ミント、読みかけの
小説、化粧ポーチをドサドサといれて、ようやく外に出る。外は、肌寒くメグはお腹がすいてく
る。近くのドーナッツ屋でコーヒーと焼きたてのベーグルを買う。車を走らせながら器用にクリ
ームチーズをベーグルに塗りつつ齧る、合間合間に熱いコーヒーを啜る。病院に着く頃にはベ
ーグルは食べ終え、メグは鞄を肩に引っ掛けて、まだ温かいコーヒーを手に出社する。その頃
には、起きがけの絶望は忽然と姿を消している。まるで嘘みたいに絶望は身を潜め、メグは他
人の絶望に耳を傾ける。

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by holly-short | 2006-11-27 19:00 | メグ シリーズ

fashion freak

b0090823_22154669.jpg  Annie Leibovitz's Marie Antoinette


ワタシは元々、元来、もちろん今でもファッション誌が大好きなのでR。それは別に自分自身がファッショナブルでありたいとか、オシャレだとか、そういうんではなくて純粋に見たり、感じたり、その世界観に触れたりするのが好きなのでRよ。そりゃあ、自分自身だって常に最新のファッションに身を包みたいって気持ちは山々なのでRが、そこまでする資金力も気力もないわけで、(いやいや気力はあるが、、、散財する気力の方ね!)自分自身のファッションについては、ある種、諦めの境地でもあるのかもしれないな。でも、そんなワタシってちょっと賢い?って言うか、それこそが現実的だろーって思ったり思わなかったり、、、、こう言っちゃあ何だがワタクシ小さな頃から高級服ばかり雑誌やテレビで見ていたので(コレクションに出てくるような服)目ばかり肥えてしまい、もし本気で何も考えずオシャレしようもんなら、きっといくらお金があっても足りないだろう。マジで破産まっしぐら。まあ、これは誰にでも言えることで、ようはバランスなんだろうけどさ、、、、、。でも、もし誰かタダで(ありえねー)何でもくれると言うのであれば、BALENCIAGAやALESSANDRO DELL'ACQUAなんかが着てみたいニャ。シックで上質でスタンダードだけどディテールが個性的なお洋服がお好みなの。見る人が見れば解かる!っつーような奴。。。誰か買って。。。。。そんなワタシ、、、、、現在は見る人が見れば解かるUNIQLO(ワタシはウニクロと呼んでいる)のスリムパンツをはいているワ。でもコレ本当にジャストフィットではき心地は最高。誰にでも自信を持ってオススメ!出来ちゃう一品であります。だって、1枚2,900円くらいだよ〜。2枚買ったら、5,000円以下になるのだよ!!(だよね?)モチノロンロン、ワタシは2枚お買い上げしました。

BUT、それでもなお、、、、、ワタシのファッションに対する思いは一応熱いのでRよ。(本当か?)(本当です!)幼少の頃から月曜日の夜10時頃からやってた「ファッション通信」なる番組が大好きだった。でも、今考えると摩訶不思議なのだけど、それが好きだという事が親に知られるのがスゴク恥ずかしくて、隠れてコソコソ見ていた思い出がありまする。何故だ?子供心ってホントよー解からんよね。とにかくコレクションの様子を眺めるのが大好きで、番組はほぼコレクションの解説に特化していたような、、、、大内順子という超つやつや黒髪マッシュルームカットにモード系サングラスがトレードマークの素敵なおば様が毎度コレクションを解説してくれるんだよね。懐かP。「ファッション通信」はワタシのファッション哲学(って言ってもよい?)を育む最良の情報源&テクストだったのさ。それと同時にオマセなワタシは、「流行通信」なるファッション雑誌を愛読してました。(この2つ、根の部分は一緒でハナエモリグループ?)「流行通信」にはマジで心底陶酔し、洗脳されまくっていたな。当時は何故か超個性派のデザイナーとして頭角を表したばかりのジャンポールゴルチェにぞっこんでした。(もちろん買ったことはないけど、、、、)ああいう系では、今ではAlexander McqueenやVIKTOR&ROLFなどの方が好きかもしんない。コレクションの見せ方、雰囲気、イメージ、、、、ムーディで幻想的でロマンティックでいつか本物を見てみたい。今でこそいろいろな雑誌がハイファッションを取り上げているけど、当時はああいう非現実的なハイファッションの世界を発信している媒体ってあまりなかったんだよね。「流行通信」は写真もとても美しく、海外雑誌にはない日本らしさにも満ちていて、ワタシのよーわからんセンスはきっとこの2つによって、ちょっちオカシな非現実路線へと育まれたのでありませう。ま、一応そんなファッション好きは、今でも変り映えなくワタシの中に宿っているのだけれども、なにせ中途半端なので生かされ方も当然中途半端なわけです。洋裁をするので、まれにとっても生きたりすることも個人的にはあると思っているのだけど、変に個性的でオカシな方向にいっちゃうことも少なくなかったりします。まあ、ワタシの洋裁は工作なみに安易で自由で、自己流故に、それはそれで楽しんでいるけどね。たまに布が無駄になる。。今は時間もなくて全然洋裁出来てないのが現実なんだけど、洋裁はワタシのナンバー1の趣味なので一生続けてどうにか精進しつつ、自分の本当に着たい服が自分で作れるようになるのが希望でございます。特にカワユイ世界に1つしかない皆がウラヤムような(←これがポイントね!)コートなどが作れるようになれれば本望。今はまだまだ未熟なワタチ。。。ってことで高級ブランドの服は指をくわえて眺めるばかりで、実際に買うことは滅多にないけど、ファッション雑誌はワタシにとって心の栄養なのでございます。そのファッションをとりまくイメージ、表現力、世界観が好きなのだよ。

 そういうえば先日「プラダを着た悪魔」を見に行ったけど、(試写会)それなりに楽しめはしたものの、ファッションを扱う映画としてはどうかな?とも思った。アン ・ハサウェイもとっても美人なんだけど、どう見てもオシャレなタイプじゃないし、どんなに着飾ってもただの綺麗なお嬢さん(やっぱりプリティプリンセス?)(ブロークバックマウンテンの度派手な南部ファッションの方が似合っていた?)って感じで、無理やり着せられているような感じがつまらん。スタイリストはSEX and the CITYのパトリシア・フィールドらしいけどやはり本家のSEX and the CITYの方が断然面白かったな。まあ、ファッションにまるで興味のないジャーナリスト志望の女の子が無理やりファッション業界に入るっつー話だから、致し方なく、正にそのものなんだろうけど、、、、。やはり興味がない感じの人が無理やりオシャレしたところで、どうにもつまらんのだな。その人らしさが薄くって、どうにも希薄な感じがしちゃうんだよね。ファッションって映画でもなんでも、オシャレでもそうでなくても、その人の生活と密着していて、その人らしさがなくっちゃーどうもしっくりこない。たとえばKate MossなんてプライベートでもそうでなくてもいつでもKate Moss然としていてとってもシックでイカス!(って古い?)あれは、もう天性のものなんだろうね。センスも抜群だし、もう何着ても(ってことはないのか??)100%揺ぎ無くKate Mossでスタイリッシュに見えちゃうの。ウラヤマP限り。きっとKate Mossならウニクロだって素敵に着こなしちゃうだろうこと間違いなし。って、ことで彼女のファッションっていまいち参考にならない感じもする。勿論見ているだけで楽しいのだけど、、、、

映画でファッションと言えば、個人的にはゴダールの映画に出てくるアンナ・カリーナが一等好きです。別になんてこともないような安そうな服を着ているんだけど、とても可愛くてオシャレでしっくりくるのだな。まあ、スタイルも抜群にいいからなんだけど、、、。さすがは、フランス映画。噂によると(っていうか、ワタシの記憶が正しければ、)ゴダールは超安物の衣料店でアンナ・カリーナに似合う服を自ら買ってきて着せたらしいです。たぶんとてもチープな服なんだろうけどそれがとても似合っているのだ。とにかくようはセンスなんだよね。で、あとは残酷だけど、着る人のその者の素材の良さにつきてしまうのかもしれん。。。。まあ、どちらにしても好みは人それぞれでRからして希望は捨てられない、、、、、、、アンナ・カリーナのファッションなんてとっても洋裁向きで、夏のニットワンピースなんて真似して作るととても参考になります。ハンドメイド感とオシャレなバランスが絶妙だし、シンプルで作りやすいこと請け合いです。まあ、もちろんそれを着たからってアンナ・カリーナになれるわけではないんだけどさ、、、気分よ気分。。。。

で、長々とワタシのファッション哲学について書き綴って見ましたが、、、、、なにが言いたかったといえば、言いたいことなどなにもなくて、お正月映画 Marie Antoinette のイメージとして写真家Annie Leibovitzが獲り下ろしたヴォーグのスチール写真があまりにも素敵過ぎて載せたかったので、ついでにワタシのオシャレ話しに華を咲かせてみたわけです。「マリーアントワネット」是非、見に行きたいと思っておりまする。賞賛と不評?と賛否両論だった?らしいけど、ワタシはソフィア・コッポラの世界観がすごく好きなので、きっと楽しめるんじゃないかな?と思ってる。そして、ソフィア・コッポラ、自身のブランドを持っているだけあって彼女のファッションセンスは抜群だと思ふな。キルティン・ダンストの邪悪そうな(特に目)マリーアントワネットにも思わずそそられちゃう。なんとなく、、、、、スカーレット・ヨハンセンでは、セクシーすぎるし、コメディー感が薄いだろう。とにかく楽しみ。

ファッション。個人的には色々ほしいものはあるが、とにかく今すぐほしいのは、靴とブーツ。まじでほしい。ってよりもこの冬、穿くものがないのだ。(ワタシ手入れが悪くて、2年くらいで穿き潰しちゃうから長持ちしなかったりする。。。)今も夏物のスリッポンを裸足につっかけている。(基本的には裸足が好きなの!でも寒いよう)靴というのは、明らかに品質の良し悪しが、大きく影響するものだと思ふ。高い靴は、高すぎるけど、やはりよかったりもします。歩きやすく、長持ちして、見栄えもイイし、オシャレに見えちゃう。まあ、そう言ったらパンツだってそうなんだけどさ、、、ワタシの日々の生活ではウニクロのスリムパンツで充分だったり、、、、、、ってこともあり、靴くらいは上質なものを渇望!!先日、前々から気になっていたレペットを試着してみて、それがすごく歩きやすくてカワユイ。ラメや形違いや色もイロイロでていて、出来ることなら2,3足、それこそ全部揃えたい位だけど、もちろんそれは無理なので(あたりまえでい)とりあえず、1足くらいなら、、、、。でも、それが選べないのだよ。優柔不断なので、どれも可愛くみえてしまう。しかも、一緒に来た人が、「えー、これ上履きみたいじゃん。この上履きこんなに高いの?」なんてー横槍を入れるものだから、、、さらに気持ちが揺らぎ心が定まらず、結局買わずに帰ってきてしまった。たかが靴、されど靴。。。別にイメルダとまでは言わないけど(履く靴もないのに、イメルダはないよね。。あはは。。)カワユイ靴がほしいこの女心。解かる人にしか解からぬのが、ファッションの世界なのだな。また、カワユイ靴を求め、いざ出陣せねば!そして、また買えずに帰ってくるのがワタシのよくあるパターンだったりする、、、、、、

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by holly-short | 2006-11-24 22:20 | diary

チョコレートの夢。

 メグは夢をみている。幼い頃の夢。夢の中でメグは豪華に飾り立てられた美しい舞台に立っ
ている。舞台は薄暗く、柔らかい光が双子の姉妹をまるく照らし出している。沢山の観客を目
の前に、双子の姉妹はバレーを踊っている。幼い身体ときつく纏められた髪にはデリケートな
羽根飾りが、細い腰周りには繊細なレースが重ねられた小さなチュチュが飾られている。小さ
く尖った四つのつま先はまるで纏足しているかのように硬くバニラ色のトウシューズで縛り上げ
られている。薄くピンク色に上気する頬、顔全体はきめ細やかな白いパウダーがはたかれてい
る。オーケストラの演奏は舞台の下の方から、浮かび上がるように全体を包み込む。観客席は
まるで夜の海みたいに暗く静寂に沈んでいる。しかしそこには大勢の着飾った紳士淑女たちが
息を潜め、双子の一糸乱れぬ美しい動きに心を奪われている。双子の姉妹、メグとミアは踊っ
ている最中、まるでどちらがどちらなのか自分でも見失ってしまう程に2人は調和している。ま
るで、上から紐でぶら下げられた操り人形みたいに、身体が2人の意思とは離れたところで勝
手に動いてるがごとくシンクロする。しかし次の瞬間、メグは2人の間に小さな亀裂が生じるの
を肌で感じ取る。まるで上から吊られた紐がプツリと切れたようにミアはバランスを崩し、爪先
立ちのまま後ろへと倒れ込んだ。メグはとっさにミアに手を伸ばす。しかし、そこにはミアはおら
ず、のっぺりとした白い人形がメグの手にぐったりとぶら下がった。それはとても重くて、メグは
大きな音と共に勢いよく床に転倒した。オーケストラはすでに鳴り止み、観客席は小さくざわめ
いた。メグは冷たい床に頬をべったりと付けたまま、あまりの恐怖に凍りついてしまう。一瞬、な
にも考えられない。観客は、ざわめき続けそれは徐々に全体へと波及して大きなうねりとなって
メグに押し寄せてくる。オーケストラはまるでそのざわめきを制するかのように再びメロディを
奏ではじめる。スポットライトは、倒れたメグと白いのっぺりとした人形に注がれ続ける。メグ
は覚悟を決め、どうにか立ち上がる。オーケストラの音楽に合わせてゆっくりと爪先立ちにス
テップを踏みはじめる。メグはもう幼くもなく、脂肪の充分についた成熟した身体に白いバレリ
ーナの衣装が痛々しい。しかし、メグは社会的責任から舞台に立つ限り踊り続けなければなら
ない。勿論さっきまでのように身体は軽やかには動く筈もなく、ぎこちなくドタバタと手足を不
器用に動かすばかりだ。そのうちオーケストラは、溶けるように乱れはじめ、黒く澱んでいた観
客席からは失笑のような笑い声や軽蔑するような野次が舞台へと投げつけられた。青白く照
らし出された観客の顔は白く不気味で、冷淡な視線で舐めるようにメグを凝視する。女性の
赤い唇は淫らに歪んで笑いを含んでいる。まるでロートレックの絵画にでてくる紳士淑女のよう
に淫猥さを露骨に含ませた観客たちを前に、メグは道化師と化す。しかもそれは、けしてプロ
フェッショナルなものではなく、ただの惨めな存在としての肉の塊だ。メグは踊る。すべての
力を振り絞り、脂肪を震わす。そのうちメグの脂肪はゆっくりとそして急速に増殖し始める。増
殖した脂肪はぶくぶくと膨れ上がり、美しく飾られた舞台を飲み込み、オーケストラを飲み込
み、そして逃げ狂う観客たちを飲み込んで、一気に劇場全体へと侵食する。メグはぶくぶくと
膨らんだ操縦不能の身体に埋まるようにしてぼんやりと佇んでいる。脂肪は冷えて徐々にチョコ
レートへと変化する。劇場の形をしたチョコレートはさぞ美しいだろうな、とメグは思う。
「ミア?」と、小さく呟き目には涙を浮かべる。

 メグは目覚める。とても気分が悪く嫌な感じの汗をたくさんかいている。胸焼けと倦怠感と得
体の知れない恐怖心が身体全体を侵食している。メグは重い身体を起こし、キッチンへと向
かう。冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、冷たく澄んだその水を一気に飲む。シンクに
グラスを片付けると、見慣れない木箱が視界に入る。木箱の上には美しい外国語が小さくプリ
ントされている。金色の金具を開けて中を覗くと、そこは空っぽだ。メグはすべてを思い出し、
愕然とする。昨日、メグは友人宅で開かれた小さなパーティに参加した。友人宅がナパバレー
に所持するワイナリーで出来たばかりのワインのテースティングを兼ねて、メグの誕生日のお
祝いもしてくれたのだ。出来たてから年代物のワインの数々、様々な種類のチーズ、スペイン
製のパステラミ、メグたちは最高に美味しい夜を、楽しい会話とともに存分に満喫した。帰りに
友人は、食べきれなかったケーキを木箱入りのホールのままメグに持たせてくれた。ケーキと
いっても、Kマートで売られているような蛍光色ウィップクリームでデコレートされた派手な安物
のケーキではなく、ウィーンより空輸された木箱入りのザッハトルテだ。とても濃厚で甘く、重
たいチョコレートのタルト。メグは酔っ払ったままザッハトルテを抱えてタクシーで自宅に帰っ
て来たのだ。そして、多分、、、、、、、、、。記憶は定かでないが、ザッハトルテの濃厚なチョ
コレートの味は安易に思い出された。そしてなによりも、空っぽの木箱がすべてを物語っている
じゃないか、と。メグが頭を抱えていると、インターホンが鳴る。メグは茫然自失で相手を確認
もせずに扉を開けた。開かれた扉からは、小さな双子のバレリーナが現れた。双子は手を繋
ぎ声を揃えて、メグに言った。
「お誕生日おめでとう、メグ。」
そして、くるくると同時に回ってつま先立ちでポーズをとった。双子に続いて入ってきたのは、
メグ自身だった。若くもなく、大きな双子のお母さんとして十二分に相応しい40台の女性
だ。
「ミア。」
「おはようメグ。お誕生日おめでとう。」
ミアはメグを思いきり抱きしめる。
「ありがとう。あなたこそ、おめでとう。あなたの双子ちゃん達、見る度に大きくなるわ。まるで私
達みたい。」
「でしょ。バレーを習わせているのよ。2人をバレー教室に連れて行く前に一緒にケーキでお祝
いしようと思ってアップルパイを焼いてきたの。はい」と、言ってケーキの箱をメグに手渡した。
「ねえ、それと玄関の所に大きなブラウニーが落ちているんだけど、一体これ何?」
ミアはドアを開け、玄関に引きつめられたタイルの上に寂しげに放置された丸いザッハトルテを
指差した。ザッハトルテは2,3口大きく齧られ、そのままの丸い状態でボテッと玄関に落ちてい
た。メグは、大きく安堵し、それでも僅かに申し訳ない気持ちと共に重いザッハトルテをゴミ
箱に捨てた。紅茶と焼き立てのアップルパイで2組の双子でささやかな誕生日会を開いた。小
さな双子達は声を揃えて「私達、バレリーナになるの。」と言った。そして、けしてうまくも美しい
とも言い難い、まるで不揃いな可愛らしい踊りを、ミアとメグに披露してくれた。

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by holly-short | 2006-11-22 23:57 | メグ シリーズ

嘔吐

b0090823_0181640.jpgPetrina Hicks Artwork


お昼休み、メグは診察室におかれた体重計に意を決して恐る恐る身を乗せてみる。デジタル
体重計はメグが予想していたものよりも、8パウンドも重い値をためらいもなくはじき出す。
メグはしばし固まる。小気味よく響くノックの音に我に返り、素早く体重計から飛び下りた。
看護士のキャサリンは、ドアを開けてメグに呼びかける。
「あのお、Emilyがまた点滴を打ってくれって言うんです。」
「また出されたミールを食べないの?」
「ええ。全然手をつけなくて、昨日は少し食べたのですが、今日は全然食べようとしないんで
す。それに食べても、彼女はすぐにトイレに行きたがるんです。もちろん、トイレを我慢させるわ
けにはいきませんからとりあえず行かせるのですが、私の勘ではきっと、、、。」
メグは頷き、キャサリンと伴に診察室を後にする。思わず漏れた溜息をキャサリンに気づかれ
ぬようにゆっくりと飲みこむ。それは、もちろん患者Eからの呼び出しによるものではなく、自身
の予想外に増えた体重によるものからだ。心持ち、歩く身体が脂肪で重たいような気がしく
る。もしかしたら、デジタル体重計が壊れているのかもしれないじゃない、と思ってみる。けし
て壊れていないことは明白なのにもかかわらず、、、、。
「もう条件反射的に吐いてしまうのかもしれないわ。パブロフの犬が無意識に涎を垂らすよう
に。心理的にも肉体的にも嘔吐がすっかり身についてしまっているのね。厄介だわ。」
キャサリンは頷き、メグにカルテを手渡す。メグはカルテをざっと眺める。体重75パウンド!!こ
んな数字、有り得ない、とメグは思う。              (※1lb(1pound)=0.454㎏)

カルテ:患者E。年齢14歳女性。拒食症。

メグは白い清潔なシーツのひかれたベッドにウォークマンを聞きながら横たわる患者Eの小さ
な肩に優しく触れた。ベッドに備え付けられた簡易性のテーブルには、手のつけられていない
冷えた給食が無造作に放置されている。患者Eは、イヤホンを外してメグを見つめる。患者E
は、とても美しく整った顔立ちをしている。あまりにも痩せているので、小さな顔がくっきりと際
立ち、まるでお人形そのものだ。長い睫に周囲を囲まれた青い大きな瞳は、パチリパチリと音
をたてるかのごとく、閉じたり開いたりする。
「Emily大丈夫?」
メグは患者Eを覗き込む。
「先生、点滴を打ってほしいの。なんだか私、ちょっとフラフラして具合が悪いの。」
「点滴の前に、ちゃんと食べ物を食べる努力をしなくてはいけないわ。あなたの食事はこれで
も随分減らしてあるのよ。この間だって、ちゃんと食べるって、約束したでしょう。」
「でも先生、私何も食べたくないの。無理なのよ。それで出来たら点滴で栄養を取ろうかなっ
て思うんだけど、、、もちろん先生さえ良ければ、、、、。」
「解かっているとは思うけど、点滴はあくまで医療行為なのよ。緊急時に補足として一時的に
使うだけなの。ちゃんと口から食物を食べて、栄養を摂取しなくては、いつまでたっても健康
状態は改善されないのよ。」
患者Eは黙りこんでしまう。それからしばし間をおいて、うなだれるようにメグを見つめる。ぶら
下がる右手の中指と人差し指で支えられたメグのペンは、患者Eの視界の外側でゆらゆらと
小さく揺れ続ける。
「でも、私とっても元気だもの。それに食べたり飲み込んだりする行為って、好きじゃないの。
なんだかとっても卑しい感じがして、絶えられないって言うか、、、それにこれ以上体重を増や
したくないの。私はバレリーナなのよ。プロのバレリーナを目指しているの。これ以上太った
ら、見栄えが悪いわ。」
「言っておくけど、あなたは、全然太っていないわ。実際、体重だって適性値よりもかなり下
回っているじゃない。それこそ危険なくらいよ。生理だってずっと止まってしまっているのは、体
内の脂肪分が足りていないからなのよ。今の体力では、バレー以前に普通に生活すること
だって困難でしょう?それこそバレリーナとして活躍する為にも、なによりも一番大切なのは健
康と体力なのよ。」
「先生は何も解かっていないのよ。太ったバレリーナに未来はないのよ。」
患者Eはきっぱりと真っ直ぐにメグを見据えて言う。
「ねえ、お願いだから真剣に聞いて頂戴。あなたが思っている以上に拒食症は甘くないのよ。
長期間、嘔吐を繰り返すと体内のカリウムが高まりすぎて心臓を急停止させてしまう可能性
だってあるの。自分自身で変わる努力が出来ないのなら、前にも言った通り、私はあなたを拘
束しなくちゃならないわ。食後の数時間、身動きがとれないように寝たままの状態で手足を拘
束するのよ。もし、この病院が合わないのであれば、ご家族に相談して他の病院に移ること
だって出来るのよ。もっと拒食症を専門に取り扱っている病院に行った方が良い治療が受けら
れる場合だってあるわ。もっとも、どこに行ったとしても、ちゃんと自分自身の病気と向かい合わ
なくては、どんな病気も治らないのよ。」
メグは、患者Eの目を見て厳しく言った。患者Eはメグを睨みつけるように見据え、そのうち
真っ青な太陽の様な瞳から大粒の涙を流した。
「でも、もしトイレに行きたくなったら、どうしたらいいの?」
「申し訳ないけど、拘束中はオムツをしてもらうことになるわ。」
「そんなの嫌だわ。」
「じゃあ、もう少し努力してみて。出されたものを少しでも食べて、食べたものは吐こうと思わ
ないで。あなたの場合、少しずつ身体で覚えていくしか方法はないのよ。」
患者Eは長い沈黙の後、ゆっくりと目の前にある給食に手をつけた。まるでロボットのように何
の感情もなくただただスプーンを機械的に口に運んだ。そして永遠とも思えるかのような長い
時間をかけて、出された給食をどうにか食べ終えた。

メグは診察室に戻ると、神妙な面持ちで再びデジタル体重計に身体をゆっくりと乗せてみ
る。「、、、、、、、、。」メグはしばし固って、それでも変わらないその値に肩を落とす。秋だもの
致し方ないわ、と自分自身に言い聞かせる。ノックと共に再び看護士のキャサリンが入ってくる。
「先生、Emilyが食べたものを全部吐き出してしまいました。ベッドの上で、洗いざらい。」
メグは深く溜息をつく。世の中ってどうしてこうもうまくいかないのかしら、、、、、と。「とりあえ
ず、点滴を打ってあげて。ちょっと無理に食べさせ過ぎてしまったのかもしれないわ。又、夕食
の時間に様子をみて、どうするか考えるわ。」と、キャサリンに伝える。キャサリンは頷き、診察
室を出ていく。メグは、太ったバレリーナに未来はないのよ、というエミリーの言葉を思い出
す。かつて幼い頃、メグもバレーに熱中していた時代があった。プロのバレリーナになりたい
と、作文に書いたこともある。タイトルは多分「将来の夢」というものだった。そして、その夢は
いつしかまるで自分でも気がつかないくらいの無頓着さで忘れ去られたのだ。まるで嘔吐した
吐瀉物のように、身に付くこと無くどこかに置いてきてしまった。

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by holly-short | 2006-11-16 23:58 | メグ シリーズ

洋裁と筋トレとワタシ

b0090823_20433853.jpglisakokin Artwork
 忙しい筈なのに、暇だな~と感じてしまうのはワタシの悪癖で、それは元来の飽き性からくるものと思われる。きっとイロイロな意味で充実していないと、つまらなくなり、それを私の中でイコール暇?と解釈してしまうのかしら。それとも、本当に暇なのかもしれない。。。。これを書くようになってから、趣味の洋裁からは遠く遠ざかっておりましたが、ようやく「お題小説」も終わったことですし、重すぎる腰を無理やり持ち上げて、今週末は洋裁をしまっくってみました。ワタシにとって、文章を書く時は、メチャクチャ頭を使わなければならず、それはスカスカの脳みそを無理やり硬く絞りあげるみたいな作業。いくら集中して書いていたとしても、無心にはなれないというストレスと常に隣り合わせとも言える。(しかし、中には無心で文章を書けるっていう人もいるんだよねー。。羨まP~。)しかし、洋裁の場合は、重要な局面のみにちょろっと頭をつかえば、あとは無心で作業が進められる。テレビを見ながら(聞きながら?)でも作業可能。手作業というのは、とっても心に優しいリハビリ効果があるのだなーと久しぶりに思ひました。と、いってもあまり時間もないので、又お預けなんだけど、、、、、元々、洋裁大好きなのでやりはじめたら楽しいの。しかし、洋裁に熱中してしまうと、マジですべてがフリーズしてしまう。。。。。今回は、友達が男の子を出産したので、ベビー服を作成しました。妹に子供が生まれた時にたくさんベビー服を作っていたので、ベビー服の本や型紙は自分に子供がいないにもかかわらず無駄にタンマリあります。そして、ベビー服を作るのは非常に楽しい。しかも、簡単。大人の洋服を作ることを思えば3倍くらい楽チン。しかも、布もあんまりいらないし、作業も単純明解。小さいから出来上がった洋服は、とってもカワユク見えのだな~。。親バカ?

洋裁に浮気したついでに、二年間くらい通っているスポーツクラブで今まで一度も足を踏み入れたことがなかったマシーンのスペースで筋トレをしてきました。40畳くらいのスペースに所狭しと最新のマシーンが並んでおります。いつも横目でチラ見するにとどまっていたのですが、やはり何をするんでも筋力が重要か?と思い立ったのはワタシではありませぬが、お付き合いで筋トレしてきました。使い方がよく解からず、あーでもないこーでもないと最新マシーンに悪戦苦闘していたら、全身筋肉ムキムキの赤いタンクトップがセクシーなお兄ちゃんがどこかともなく現れて、ご丁寧にマンツーマンで指導までしてくれました。(ってよりも、ワタシたち以外には誰もいなかったの!)それが、自由気ままに自己流でやっているとあんまりキツクないんだけど、、、筋肉マンに言われた動きと(無駄な動きを省く)、リズムでやるともうキツイのなんのって、「お願いだからどっかに消えてくれ~この筋肉バカめ~」なんて叫びたくなっちゃう程狂おしい。そんで、「今どの筋肉を使ってるか解かります?」なんて筋肉マンが常に聞いてくるから、、ワタシは「え?腕でしょ?ここら変?」(見ての通りだよ!怒!!)なんて腕の前あたりを指差したりすると、、「う~ん、オカシイ。これは、上腕三等筋に効く筈なんだけどなあ~、、、、」なんて、筋肉の正式名称?をコレでもか!と並べたててくる。ワタシからしたら腕の筋肉、足の筋肉くらいの区別しかないから、、、なにがなんだから解からん。それでなくても、キツくてまるで頭に入ってこないのだ。とにかく、今どの筋肉を鍛えているのか?を意識しつつ、そこだけをピンポイントで使うという無駄のない動きを叩き込もうとするんだけど、、、すぐに疲れてくるので身体は他の筋肉たちに助けを求め、ワタシも根性がないのですぐに力を分散させようとしちゃうわけ。呼吸法やらタイミングやら頭では解かってはいるものの体がついていかず、それでも筋肉マンの指導を仰ぎ約一時間のワークアウトもどうにか終了。ハア〜モロに筋肉に効きますた。運動後の疲れには慣れているワタシですが、筋トレ後の疲れってなんか、なんて言うんだろーすごくフラストレーションの溜まる感じで、本当に気分もグッタリって感じだった。でも、身体はなんかフワフワして、空でも飛べちゃうかも?みたいな浮遊感。。。。。でも、グッタリんこなの。

そして、二日後の今日、まっすぐ歩くことすら困難な程の筋肉痛に見舞われている。。。全身がカクカクシカジカとしか動きませぬ。こういう場合、ワープロって指先だけを動かして書けるからとっても便利だニャ。

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オマケ
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by holly-short | 2006-11-13 20:48 | diary

After Halloween

「先生、うちの息子、マスクを取ろうとしないんです。もう10日間以上もマスクをかぶったまま
で、、、、」
ミセスFは震える声で電話越しに話しかけた。メグは前回箇条書きしたカルテをとってくるよう
に看護士のキャサリンに身振り手振りで依頼する。キャサリンは黙って頷き、診察室から出てい
く。
「10月31日の日に、ハロウィンなので、お友達と一緒にお菓子をもらいにご近所をまわってき
たら?って提案してみました。家に引き篭もってばかりではよくないと思って、幼馴染のお友達
を呼んで、むかし息子が一度着て大切にとっておいた衣装を着るようにすすめてみたんです。
息子は素直に衣装に着替えて、お友達と一緒に家を出て行きました。私、心配でずっと彼らの
後を遠くから眺めていました。でも、私の心配を他所に息子はすごく楽しそうにして、“Trick
or Treat”と声をあげて、お菓子をたくさん貰ったりして生き生きとしていました。まるで昔に
戻ったみたいで、私すごく嬉しかったんです。きっと、この子はまだ子供なんだなって、勉強漬
けの生活が息子をオカシクしたんじゃないかって。」
メグは相槌をうつように頷き、受話器を肩にひっかけたままに手渡されたカルテにメモをとった。
「でも、それ以来、マスクをとろうとしないんです。家の中でも寝るときもシャワーを浴びる時も
ずっとマスクのままで、私が泣いて頼んでも、夫が怒鳴りつけても、断固はずしてくれなく
て、、、、、ごめんなさい、私ちょっと動揺しちゃって、、、」
ミセスFは泣くように鼻水をすする。電話の向こうで勢いよく鼻をかぐ。
「なにか理由があるのかしら?マスクを外せない理由が、、、」
メグは左耳のピアスを外して、尋ねる。
「マスクをかぶっていると電波が入り難いんだって、あれが侵食するのを防げると言っていまし
た。ハロウィン以来、息子はよく外出をするようになりました。もちろん外出すること自体は喜ば
しいことです。でもマスクをつけたままの格好でそこら中をうろうろするものですから、正直困っ
てしまって、、、、。ご近所の方が奇異な目で息子を見るだけならまだしも、先日は警察まで
呼ばれてしまいました。もちろん事情を話して連れて帰って来たのですが。夫も事態の深刻さ
を察して、無理やりマスクを剥がそうとするものだから、息子が激しく抵抗してマスクが破れ
てしまいました。でも、まだ裂けてボロボロになったそのマスクを被りつづけています。部屋に
引き篭もったままで、もごもごと何か喋り続けているのです。私が病院に行こうといくら言って
も、聞き入れてもらえません。」
「そうですか。」
メグはしばし考える。カルテをデスクに置き、ペンを指先でくるりと廻してみる。
「解かりました。精神科には強制入院のシステムがあるんです。ご本人の了解を得なくても、
親族のサインと指定医師の承諾さえあれば強制的に入院することが可能です。本来であれ
ば、ご本人の了解を得た上での入院が好ましいのですが、今回のようなケースでは致し方な
いのかもしれません。」
「でも、どうすればいいんでしょう?」
ミセスFは不安そうな声を漏らす。
「お迎えにあがりますわ。」
メグはきっぱりと言って受話器を下ろした。ピアスをはめ直し、カルテを手に院長室のドアを
ノックした。
「ドクターD、急なんですけど今すぐに強制入院させたい患者がいるんです。往診の許可を頂
けますか?」
ドクターDは、コクリと頷き、カルテを一瞥もせずにサインをした。
「ところでメグ、救急車を使うのかい?」
「いえ、相手は子供で、病院を拒んでいるんです。ちょうどソーシャルワーカーの方達も出払っ
てしまっていて使える車もないので、私の車でお迎えに行こうかなと。ほんのすぐ近くです
し、、、」
「そう。じゃあ、僕が一緒に行こう。」
ドクターDはそう言うと、贅沢な皮で出来た回転椅子をくるりと一回転させて立ち上がった。
メグは、ドクターDの車、ピカピカに磨かれた黒いハマーによじ登るように乗り込んだ。車高が
高く窓から見下ろす風景はいつもよりも下の方に佇んでいるかの様だ。メグはまるで戦地に向
かう兵士のような気分になり、微かな優越感がどこかから沸いてくるのを感じた。

ミスター&ミセスFの自宅は閑静な住宅街の一角にあった。

 ミセスFは泣き腫らした赤い目で弱弱しく微笑み、「ご迷惑をかけて申し訳ないわ。」という言
葉と供にメグとドクターDを広くゆったりとした応接室に通した。「おかまいなく、」というメグの
言葉も聞かないうちにミセスFはキッチンへと消え、次の瞬間にはヘレンドの美しいカップアン
ドソーサーに上品な香りが豊かに漂う紅茶を注いでくれた。
「うむ、なかなか旨い紅茶ですな。」
ドクターDは一瞬の遠慮も見せないままにズズズッと紅茶を一気に啜った。
「それが、さっき出社前に夫が無理やり部屋から連れ出そうとしたんですが、クローゼットの柱
にしがみついてしまって剥がれないんです。マスクを奪おうとしたら狂気したように怒り出し
て、頭を柱に何度もぶつけて、、、、」と、ミセスFは貴重面に折り畳まれた白いハンカチで涙を
拭った。ドクターDは、「ふむ、ふむ、」と相槌をうちながら、皿に並んだクッキーを頬張った。
そして、唐突に「いいアイディアがありますよ。」などと言って、路上に停められたハマーへと戻
り、大きなダンボール箱を抱えて戻ってきた。ダンボール箱の中にはハロウィンの日に病院で
使った仮装用の衣装やマスク、被り物、小物類などが無造作に詰め込められていた。
「これは、、、、」
ミセスFは言葉を失い、メグは戸惑うような視線をドクターDへ投げた。
「息子さんみたいな、強迫神経症状の強い患者さんには無理強いしても、無駄な体力を使わ
せるだけですからな。彼が病院に来やすいように工夫することが大事ですよ。一旦病院に入っ
て、きちんとした診断をして、薬を試してみなければ、なかなか病状というのは掴めないもの
ですからな。ほら、メグ、君はこれだ。」
「え?私もですか。」
「当たり前じゃないか、君が担当医だろう。それに僕1人きりじゃあ、寂しいじゃないか。」

ミセスFは、ドクターDとメグを患者Fの部屋まで案内してくれた。壁紙、床、調度品の数々、ど
こを見ても、瀟洒なその佇まいに、質の良さが見て取れた。廊下の天井からいくつもぶら下が
る小ぶりなシャンデリアが繊細な影を廊下に落としていた。ドクターDとメグの異常な形をし
た2つの影と重なりあうようにして。

「Trick or Treat!」

ドクターDは大きく声を張りあげて患者Fの部屋へと躊躇なく突き進んだ。
「おい、マスクを持ってきたぞ。一緒にちょっと散歩に行こう。」
ドクターDはベッドの上でシーツにくるまった状態でうずくまる患者Fにマスクを投げて渡した。
患者Fは柔らかいマスクの当たった感触に一瞬ビクッと身体を強張らせ、それでも素早くマス
クを手にして、掻き毟った栗色の頭にすっぽりとそれを被った。そして、ゆっくりと顔をあげてド
クターDとメグをまじまじと見つめた。


b0090823_14123972.jpgDave's Artwork


ドクターDは、シーツを手早く剥ぎ取り、間髪入れずに患者Fの手にプラスチックで出来た小さ
なカボチャの形をしたバケツを持たせた。
「おい、ボーとするな。いくぞ。」
ドクターDは強い口調で言った。患者Fも素直にドクターDの後に続いた。ミセスFはきょとんとし
てマスクを被った3人を眺めていた。3人は閑静な住宅街をテクテクと何事もなかったかのよ
うに歩いて、まるで吸い込まれるように黒いハマーに乗り込んだ。

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by holly-short | 2006-11-11 14:00 | メグ シリーズ

BROKEBACK MOUNTAIN by Annie Proulx

b0090823_2318468.jpg 映画を見てから、原作を読んだからかもしれないけど、、いやいやそれでなくとも、久し振りにググググッと胸にくる短編小説だった。映画とあらすじはほぼ同じでありながらも、細部や、重要な場面から受ける印象はまるで違かったりもした。もちろん、どちらが良いとか悪いとかではなく、それぞれ全く別のものとしてものスゴク楽しめた。訳者も最後に書いているけど、映画でのラストは、「和解と思い出」でしめくくっている。どしらかといえば、、見るものに温かい哀しみを与える終わりかたでもある。しかし、原作の結びは、「葛藤と偽り」なのだ。。。。それは読む物に、少なくともワタシには、やるせない哀しみを残した。

(訳者の言葉より抜粋→)その偽りとはジャックの偽りであると同時にイニス自身に対する偽りでもある。一言で言えば原作は映画よりもずっと曖昧なのだ。だが、この曖昧さと苦さこそ人間の「記憶」を扱ったこの短編の生命がある。

 小説ではまず冒頭、ジャックが死んだ後のイニスの日常からはじまる。映画では描かれていなかった場面。そこでイニスはジャックがいなくなった後もなお、ジャックとのBROKEBACK MOUNTAIN の輝かしい思い出を胸に生き続けようとしている。まるで燃え尽きた炎で、暖をとるかのごとく、、、、、、
「まじまじと見つめない限り、夢は昼の間も消えずに燃え続け、あの底冷えする山で過ごしたかつての日々を、もう一度温め直してくれるだろう。世界は自分たちのもので、間違ったことなど何1つないように思えた日々を、、、、」 mmm、、、映画のレビューでは、イニスがジャックに永遠の愛を誓うみたいな終わり方は陳腐じゃないか?って書いたけど、、、、(今でもその意見には変わりはないものの)、、、ワタシは豊かで自由な時代に生きているからイニスの生活の過酷さを理解出来ていなかったのかな?とも思った。「永遠の愛」、、、とかそんなロマンチックなものじゃなくて、イニスにとってはそれこそが生きる術だったのだな。イニスの最後の言葉「自分が知ったこと、信じようとしたこととの間にはいささか隙間が空いていた。だが、それはどうすことも出来ない。そして自分で解決できないのなら、それは我慢するしかないんだ」、、なんて、あまりにも重たくてワタシ吐いちゃいそう。。。。。。。。小説では、その人間が置かれた揺るぎない環境、絶対的条件がいかにその人間を侵食し、決定付けてしまうのかについて、残酷なまでに無駄の無い文章で綴られている。そして、それは最後の最後まで微動だにせず、変わらないのだ。ジャックは、イニスに大きな変化を強く求めるものの、自体は何ら変化しない。「何も終わってはいないし、何も始まっていないし、何も解決していない」と、書いてあるままに。しかし、だからこそジャックの忘れられない記憶、、、、あの夏BROKEBACK MOUNTAINでの焚火の前でのまどろみながらのイニスの静かな抱擁、嘘いつわりない、魔法のような幸福の瞬間、、、、が苦しい程に美しく輝くのだ。生きていくって、愛するって、とても過酷なことで、時にみじめで、残酷で、あまりにも滑稽で、本当に輝ける時間というのは一瞬しかないのかもしれない。なんだか、眉間に皺が寄ってきちゃったな。。。

 それにしてもスゴイ小説だ。心にガッツリきました。ぜひぜひ他の小説「Shipping News」なども読んでみたい。

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by holly-short | 2006-11-08 23:18 | book review

BROKEBACK MOUNTAIN

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 本当に丁寧に作り込まれた映画で、すべてのクオリティが高く洗練されつつ、絶妙に調和している。映像は美しいく、音楽も素晴らしい。ヒース・レジャーをはじめ俳優たちの演技も冴え、作品にしっくり馴染んでいる。アン・リーの監督としてすべてをまとめあげる手腕は、正に職人技で、なんてー素晴らしいんだ!!と思わず感動しちゃった。(作品よりも、むしろそこに。でも、勿論作品にも)私はもうすでに、イロイロな所でイロイロなレビューを読んだのだけど、、、この映画の場合、見る人によって解釈がかなり異なるとこがスゴク面白いのだな。そして、それぞれが皆「そうかも〜」と思わせるように映画自体も微妙なさりげない余韻を随所に感じさせている。明確な答えを与えないような作りになっているのは、小説の気質によるものでもあり、アン・リーの仕掛でもあるんだろうけど、、、そのさじ加減なんとも言えないのだ。
(以下、超ネタバレバレで~す。)
 明確には描かれていないけど、ワタシ的にはイニスもはじめから自分には男性が好きになる傾向があると、多少認識していたんじゃないかな?って思ふ。幼い頃から男性に強く惹かれてしまうような趣向を持っていた。だからこそ幼い頃の記憶、同性愛者への虐待、死刑さながらのリンチの現場、無残な状態の遺体を父親に見せつけられたことが、大きなトラウマになった。社会的にも認められず罰せられるべき存在だった同性愛者の要素が自分自身にあるという脅威、それこそが彼のトラウマだったんじゃないかと、、、、。同性愛者へ対する虐待は、当時の社会では歴然と存在していた訳で、同性愛者自体の存在だってレアではなかった。だからこそ父親は幼いイニスへ教育の一環と称してそれを見せたのだろう。しかし、自分自身にもそういう傾向のあったイニスにとって、それは人事ではなく、大きな心のトラウマとして彼自身に深く根付いてしまった。だからこそイニスは、自分を偽って生きてこざる負えなかった。しかし、BROKEBACK MOUNTAINでジャックと出会う事によって、本来の自分自身を思わず開放してしまった。それまでは男同士、カウボーイのがさつともいえるやり取りが繰り広げられ、美しい大自然をバックに辛い労働に汗を流し、煙草もくもくMarlboroManさながらなんだけど、、、ある夜を境に2人の関係は急激に変化し、深く結ばれてしまう。その変化が映画の流れの中であまりにも唐突なので、きっと「同性愛」が絡む映画だってことを認識していなかった人にとっては、(そんな人いるのかなあ?)「え?え?え?えー!!!?」って感じかもしれないけど、でもきっと現実ってそんなもんなんじゃないのかな?と思う。しかも、2人の愛は禁じられた愛。お互いそれを痛い程認識しているからこそ、平然を装い自分の気持ちに蓋をしていたのだと思う。だいたい日常生活ってそんなもんだし、イニスにとってはそれこそがそれまでのイニスの日々だった。しかし、一線を超えてしまったことでイニスは偽りのない自分自身の性(さが)に目覚めてしまう。ありのままを曝け出し、それを受け止めてくれるジャックとの愛。ふたりはBROKEBACK MOUNTAINという社会から隔離された場所で、すべての規制から開放され、タブーやトラウマを乗り越えて愛し合った。はじめから自分を同性愛者であると認識していたジャックにとっては、愛すべき最良の伴侶をイニスに見出したのだろうけど、、、イニスにとっては、それだけではなく、それと共に本来の自分自身の発見というところがとても大きいのだと思う。勿論、ジャックへ対する「愛」もテーマになっていて、そういう意味では「恋愛映画」とも言えるのだけど、、、それだけに終わらず、それ以上にイニスの「自分探し」こそがテーマになっているのかな?と思う。結局、イニスは、アルマを不幸に陥れ(一番不幸なのはこの人だよう、、、)子供たちに苦労をかけ、最愛の人ジャックのことも真に受け入れることが出来ず、二十年という長い歳月もの間、(mmm時間って残酷だ)自分自身を中途半端に騙し続けて生きてきてしまった。年に数回のBROKEBACK MOUNTAINでジャックと過ごす日々を除いて、、、、。ジャックが他の男と関係を持ったことを知り、涙を流すイニスの演技、思わずグッときた。男涙で、イニスが背負ってしまった苦しみ、苦悩、いたたまれなさが痛切に感じられた。やはり、ヒース・レジャーにアカデミー賞を!って思っちゃう。ジャックが不慮の事故で亡くなったことを聞いたイニスは、フラッシュバックのように過去の自分のトラウマであったリンチの場面を思い出す。これはジャックの死が彼にとっては、同性愛者であるが故の罰のように思われたからだろう。そして、ジャックの遺言であった「BROKEBACK MOUNTAINに自分の遺骨を撒いてほしい」というイニスとしては嬉しいとも思えるジャックのメッセージを実行すべくジャックの実家に足を運ぶ。このジャックの実家でのシーンがこの映画の鍵を解く肝になっているのだとワタシは思ふ。はじめて見た時BROKEBACK MOUNTAINに遺骨を撒くことを断ったジャックの父親は、同性愛者に対する非難からイニスの申し出を拒否したのか?と思ってみた。しかし、それはしっくりこなくて、2回目見てイヤイヤ彼は同性愛者である息子を本当の意味で受け入れたからこそ、自分たちのお墓に息子の遺骨を埋葬しようと考えたんじゃないかって気がついた。だからこそ、イニスに対して、息子はいろいろ夢を語っていたけど、、、夢はひとつも実現しなかった。と息子の無念を告白したんじゃないかな?。息子と同じ境遇に立たされているイニスに息子を重ね合わせているようにも思える。そして、ジャックの母親がイニスに投げかける視線は、とても柔らかく、まるで息子を見つめるかのようだ。イニスは、20年前のBROKEBACK MOUNTAINでなくしたと思っていた自分自身のシャツがジャックのシャツに抱しめられるように架かっていたのを目撃する。ジャックの自分へ対する愛への安堵と喜び、そしてそれ以上に、その愛を真に受け止められなかった自分自身のやるせなさに大きなショックと憤りを感じたのだろう。結局それまでのイニスは、BROKEBACK MOUNTAINで過ごす一時のみが真実の時間で、それ以外では、周囲を欺き、拒否し、犠牲にし、傷つけ、自分自身をも欺きながら身を潜めるようにひっそりと生きてきたのだ。そして、それはジャックが亡くならなければイニスにとって、真の意味で身をもって感じることが出来なかった。とてもせつなく、やるせないのだが、多分それはジャックの両親にしても同じだったのかもしれない。しかし、ジャックの死こそが、イニスをありのままの自分でBROKEBACK MOUNTAINから下山させたんじゃないかな?ありのままの自分を受け入れることが出来たからこそ、ラストのシーンでもうジャックがいないにもかかわらず郵便ポストを作り、自分の所在を示すプレートを貼り付け(この解釈があってるかどうかは知らないけど、、、こういう細かい部分がさりげなくきめ細かいの、、、)今まで引け目を感じて行くことが出来なかった教会へも、娘の結婚式への参加の為とはいえ行くことを決意できたんじゃないかな。彼はありのままの自分自身を許したのだ。ラストのシーンで、ジャックの部屋から形見わけされたシャツ、今度はイニスが抱しめるように掛けられている。そして一言呟く言葉が、、、"I swear,,,," (オレは誓うよ、、、、)なのだが、、、、、、。
し、しかし、、、、なぜか字幕では「ジャック、オレは永遠に君と一緒だ。」みたいになってるのはどうして?これってけっこう意味が違くなーい?一生の愛をいまさらジャックに誓ってるみたいじゃん。それってちょっと陳腐じゃない?ワタシ的にはイニスが誓ったことは、ジャックに対する愛ではなく、自分自身を偽らず生きていくことを誓ったんだと思う。そういう意味では、ジャックとの関係がイニスに勇気と生きる希望を与えてくれていることは確かで、愛した男との思い出の品が愛しいのは解かるものの、それはイニスにとってお守りみたいな存在で、イニスだって、その後ジャック以外の新しい恋人を見つけてもいい訳だ。実際ジャックは、イニスと頻繁に会えないもんだから、他所に男性の恋人を作ったり、男娼を買ったりしているじゃーん。人間って悲しくもそんなもんじゃないかな。。。まあ、本当にジャックを胸に今後生きていくのかもしれないけど、、、、それは生きてみないと解からないわけで、、、、。どっちでもいい気がする。だからこそ、、、最後は曖昧に放り投げてほしかったのだな。。。それなのに、ジャック一筋?みたいにしてしまうラストの字幕にはちょっと疑問を感じた。しかし、イニスの人生は今後もいろいろ大変そうなのだな。。。いまやっと自分自身の本来の姿で生きていくって僅かながらに決意をしただけで、、、、実際それで生きていくとなれば、時代的にみても様々な試練があるのだろう。しかし、それはイニスにとって、とても大きな第一歩になったのだ。

まあ、ダラダラと自己満足驀進で書きつづけたレビュー、ワタシの理解力がいか程なのかは疑問だけど、、、とにかく1つの作品としてのクオリティの高さ、完璧に近いくらいに作り込んだ上での自然な美しさは、作り手が創造した以上の効果を見るものに与えていると思うな~。そして、その効果は画一的ではなく、多様なのだな。そして、ワタシはそれこが素晴らしいと思う。さて、映画のレビューを書き終わったところで短編集を読むぞ〜mmm書き過ぎて眠くなって来た。。。zzz
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by holly-short | 2006-11-07 23:29 | movie

秋の夜長の、、、、焼きリンゴと「ホモ映画」

私は個人的に「ホモ映画」が大好きなのですが、、、ホモセクシャルの人たちからすれば、「ホモ映画」って言い方は不愉快なのでしょうか?、、、しかし、ワタシの中で一言で的確に表現しようと思うと、コレになってしまう。こういうカテゴライズのしかたって正直どうなんだろー?とも思いつつ、解かりやすいのでつい、、、、、、カテゴライズすること自体が偏見?なんてことはないよね?言葉って時として暴力にもなりうるから難しいのだな。なんて、ワンクッション入れつつ、「ホモ映画」大好きだから書き進んじゃうけど、、、、、
ワタシの中での「ホモ映画」としての決め手は以下の2つだけ。
① 主人公ないし、主人公に等しい人物が同性愛者である。
② 同性愛者であるが故の個人的ないし社会的苦悩がなんらかの形で描かれている。
って簡単なものなのですが、例えば、「カポーティ」なんかはワタシの中ではホモ映画には入らない。だって①には該当するけど、②にはいまいち該当しなかったから。映画の中でカポーティは一種成功者として描かれており、同性愛者であるがゆえの苦悩は、映画の要素として存在しなかった。私は個人的にレオナルド・ディカプリオ主演の「太陽と月に背いて」が大好きなのですが、あれはワタシの中でホモ映画に該当する大大大好きな映画です。断固!お勧めってことで突然ワタシの「ホモ映画ベスト3」を発表してみましょう、、、?

1.太陽と月に背いてb0090823_1919166.jpg
2.ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ b0090823_19195117.jpg
3. バッドエデュケーションb0090823_19193420.jpg


ってことで、、、、見てる人にしか解からないけど、どれも①にも②にも該当すると思う。そして、それらの主人公は自分自身が同性愛者であることを認め、その上で人生を生きていこうとしている。だから、②の苦悩や葛藤はどちらかといえば外側から、、社会や人間関係などの外的要素から来るものであり、自分自身の問題についてはすでにそれなりに折り合いをつけているか、もしくは、もうそれしかないという心境であり、又はなんの疑問ももたず?そうだからそうなんだ!みたいな感じだ。(太陽と月に背いてのランボーはこのタイプかな、、、、天才肌のランボーにそれがよく合っている、、、女性とも関係をもつシーンが出てくるのは、彼が男女をカテゴライズしないからなんじゃないかな?と思ふ。それはもちろん第三者の目から見てのみの印象に過ぎないのだけど、、、もうある意味開き直っているっていったら御幣があるけど、自分自身の性は発見済みなのかな?とも言える。なんでワタシがこんなことをダラダラ書いているかといえば、単に「ホモ映画好きだから!」って言ったらそれまでなのですが、今回見た映画「ブロークバック・マウンテン」が今までの「ホモ映画?」(ワタシが見たもの限定)とはちょっとタイプが異なる感じがしたからであり、改めて「ホモ映画」とはナンゾや?って気持ちになったからだ。ちなみにワタシの中では、「ブロークバック・マウンテン」は完全なる「ホモ映画」です。だって、ばっちし①にも②にも当てはまるから。前々から話題作ということもあり、映画館に見に行く予定にしていたのですが、、、ジャンケンに負けて「RIZE」(ドキュメンタリーダンス映画?)を見に行くハメになり、ウッカリ見損なってた。(まあ、「RIZE」も悪くなかったし、映画館で見てこその映画だったのですが、、、)と、遅ればせながらDVDを借りてきました。映画の前にはアペリティフ?として、寒くなってきたので焼きリンゴのアイス添えなど食べる。買ったばかりのオーブンレンジで焼いてみますた!美味しい~。
※画像「あれ、見当たらない、、、、」
「ブロークバック・マウンテン」すごく風景の映像が美しすぎて、、、あああああ~やっぱし映画館で見ればよかったな~と後悔先に立たず、、、、。アカデミー賞でノミネートされているぐらいだから、当たり前って言ったら当たり前なのでしょうが、、、映像、キャスト、演技、音楽、脚本(脚本賞受賞)すべてのクオリティーがすごく高くて、それらが絶妙にも微妙な感じでマッチしていてすばらしい映画だな~と。監督アン・リー(監督賞受賞)は、本当に才能に溢れた、職人肌の人なのだと思わず感動しちゃった。大作の映画作り(グリーンデスティニー、ハルク)に疲れ果て、鬱状態に陥っていた矢先に、ふっと浮かんできたのが原作アニー・プルーの短編小説「ブロークバック・マウンテン」だったとのこと。誰も見なくてもいい、鬱状態から抜け出すためにも、この小さな作品を映画化してみたい。というところから映画作りがはじまっているってのがとても面白いな~と。きっと会うべくして出会った最良の出会いだったのですね。普通に考えたらアン・リーとこの短編って、きっとまるで繋がらないんじゃないか?って思う。そして、なによりも個人的にはヒース・レジャーの演技が素晴らしかった。同じくホモセクシャルを演じたフィリップ・シーモア・ホフマンがアカデミー賞を獲ったらしいけど、、、ワタシ的にはヒース・レジャーにあげたい。あげるべきだろう。あげようよ。って思った。抑圧されて育った田舎者のがさつな垢抜けなさ、どもった感じ、寡黙な男らしさ、微妙な心理状況や、苦しみ、葛藤がとても自然な感じに表現されていて、演技って感じがしなかったもん。もう彼抜きにはこの映画は成立しないだろーと思える程にって、、、すべての要素がそう思えるかのごとく絶妙にマッチしているのだな。。。。恐るべしアン・リー。ってレビューを書こうと思っていたのに前置きが長くなりすぎたので、明日にしよーと。
ワタシはまだ短編は読んでいないけど、、(さっそく昨日買ってきたゼイ)、、、、映画のレビューは読まずに書いて、それから短編小説をじっくり読んでみようと思う。短編小説読んだら、、、映画を見て抱いた私の感覚がまた変化してしまうような気がして怖いので、、、それはまたそれでいいのだが、、、。映画のみに特化した感想が書きたいなーと個人的に深く思ったのでした。遅ればせながら、、、、
「ブロークバック・マウンテン」見るものに容易な解釈を許さず、掴み所がないようでいて、たくさんの上質な疑問符が随所に散らばりつつ、シンプルで、現実的に仕上がっている。作りこんだ上でのシンプリシティ。。。んんんーまさに職人技って感じがするのだな~。

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by holly-short | 2006-11-06 19:21 | diary