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上質な遺伝子 15

かつて、日記をつけていたことがある。あまりにも孤独だった頃。感情が
溢れ出し、肉体が押し潰されてしまいそうだったから。身勝手に無秩序に
体内を駆け巡り、暴力的に暴れまわる。私は自分を見失ってしまいそうだ
った。自分自身の肉体を。多分、感情を吐き出し、受け止めてくれる存在
が必要だったのだ。言葉は、どんどん湧き出てきた。考えて書くというよりも、
勝手に溢れ出てくるものを、どうにか書きとめるといった感じに。日記は、
まるで狂人が書いたそれみたいに、終わりも、はじまりもなく、支離滅裂で、
意味不明ともいえる代物だった。当時、私は救いようもない程に、絶望し
ていた。醜く歪んだエゴ。自己嫌悪。屈折した感情の縺れ。はけ口のない
自らが作り出した苦悩の中にどっぷりと浸かっていた。馬鹿みたいに。しかし、
その一方で、孤独は、私自身を際立たせ、浮き彫りにしてくれた。そして、
その苦しみとは裏腹に、剥き出しの自分自身の存在は、私に微かな安堵を
与えた。肉体に囚われない自分自身の存在、自我のようなものの存在を
感じることが出来るから。夜はあまり眠れなかった。眠れない夜、なにかに
取り憑かれたように日記を綴った。まるで気でも狂ったかのように。よく悪夢
にうなされた。眠るのが怖かった。

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by holly-short | 2006-07-24 22:20 | 上質な遺伝子
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