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黒い部屋

黒い部屋_b0090823_20263180.jpg William Cordova
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読み終わった後、ずいぶん経ってから何度でも思い出してしまうフレーズや場面があったりする。全体としての記憶は、遥か記憶の彼方にいってしまったのにもかかわらず、そのフレーズは何度でも私の頭の中でリフレインするのだ。たとえばマルグリット・デュラスの「ラ・マン」の冒頭、「思えばわたしの人生はとても早く、手のうちようがなくなってしまった。」や、後藤繁雄の対談集「独特對談」で、10パーセント質のよいチョコレートを作るためには、倍以上の労力がかかるというくだりや、アウシュビッツについて書かれたある精神科医の手記にて、クリスマスを過ぎると収容所の人たちは、一気に立て続けに死んでしまう、、、という記述などなど。。。漠然とした印象として、記憶に色濃いものも含めれば、きりが無い。そして私は、こういう私の心を揺るがす言葉たちに出会う為にこそ読書するのだと思ふ。江國香織の自身の結婚生活について書かれたエッセイ「いくつもの週末」の中で私は何度も思い出す印象深いフレーズがある。彼女自身、本書の中で映画「サム・サフィ」の台詞を引用している箇所なのですが、、、、それは「自立なんて興味ないね、人生は依存のゲームなのだから」というもの。彼女はその台詞を引用してそれを彼女なりに料理しているのですが、それがすごく私の心に響いたのだ。。。それは、きっと実際に「サム・サフィ」を見て(見てないけど、、、)この台詞を聞いたからといって、私が同じように反応するとは限らないわけで、、、やはりエッセイを読んだからこそに違いないのだな。私は、それまで自立こそが重要で、素晴らしいもので、目指すべきものであるのかと思い込んでいたので、この台詞は目に鱗だったし、一種のカルチャーショックを感じたわけです。(私が自立してるしてないは度外視して、、、というか全然してないのが悩みの種?)そして、完全に自立しているかのように思える江國香織が、この言葉に一種の居心地の悪さを感じつつも、無視できないということが。。(むしろ経済的に完全に自立しているからこそか?)「いくつもの週末」入浴中、湯船に浸かりながら読むのに丁度いい感じの一冊。そして、トイレの友でもある。。。。ちなみに今日は図書館で同じく江國香織の「雨はコーラが飲めない」を借りてくる。今日は雨だし調度いいかなって、思ったのだけど、雨とは飼っている犬の名前のようだ。。。。
って、読書なんてしている場合じゃなくて2ヵ月に一回のお題小説、今月のお題は「クリスマス」を書きはじめなれればいけないのに、、、手つかず。。。。
なにかに(←認知症?)マルグリット・デュラスが、「小説を書くには自分の心の中に黒い部屋をひとつ持ってなければならない」なんて書いてあったような気がするけど、(テキトーでごめんね。。。)ワタシの黒い部屋どこにあるんだろう?見当たらん。。。。

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by holly-short | 2006-12-17 20:27 | diary
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